賃貸オフィスコラム

新宿中央公園より西側の西新宿五丁目周辺は、都庁周辺の西新宿とは異なり、古くからの閑静な住宅街が広がっています。都会の喧騒から離れつつ、アクセス面などから「職住近接」に適した街であることは、新宿賃貸事務所.comの街角コラムでも以前取り上げさせていただきました。(西新宿五丁目駅周辺についてはこちら→職住近接も夢じゃない？進化を続ける西新宿五丁目の賃貸オフィス事情)

今回はそんな西新宿五丁目で行われている再開発事業について解説します。

再開発計画の中身は「大規模区画整理事業」

※新宿区報道発表資料より引用

古くからの閑静な住宅街が広がっている西新宿五丁目ですが、細く入り組んだ街路に老朽化した木造住宅が密集したエリアでもあり、近い将来発生することが危惧されている「首都直下型地震」などで火災が発生した際、このエリアでの火災規模の拡大が懸念されています。また、幅の広い道路や公園が不足していることから、防災性の向上と居住環境の改善が課題となっていました。

そうした経緯から、新宿区が主体となった西新宿五丁目の大規模な区画整理事業が立ち上げられました。具体的には、西新宿五丁目の北側半分、十二社通りと神田川に挟まれたエリアを「北地区」「中央北地区」「中央南地区」と区分けし、段階的に区画整理などの再開発を行っていくというものです。

このうち、中央北地区には既に地上60階建ての超高層マンション「ザ・パークハウス西新宿タワー60」が2017年に竣工しており、神田川の近くには公開空地として公園が整備されています。(中央北地区第一種市街地再開発事業については2019年3月に組合解散認可済み)

青梅街道に面した北地区についても、「西新宿五丁目北地区防災街区整備事業」と称し、2019年に着工、2023年ごろには高層マンションと高層ビルが1棟ずつ、ツインタワーとして竣工する予定。新宿中央公園よりも西側の西新宿五丁目エリアに高層建造物が次々と出現し、街の景観が一変することになります。

すべての事業が認可され再開発はさらに加速

※新宿区報道発表資料より引用

2021年6月には、「西新宿五丁目中央南地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画についても、東京都知事から認可を受けたと三井不動産レジデンシャルが発表。これにより、残っていた中央南地区の再開発事業についても本格的に始動することになり、2021年度中に本体工事に着工、2024年度の竣工を目指しています。

JR新宿駅より北西に約1.2㎞、都営大江戸線の西新宿五丁目駅から徒歩6分、東京メトロ丸の内線の西新宿駅から徒歩7分のところにある、約0.8haの区域が再開発事業の対象で、地上40階建て、免震構造の住宅棟（高層マンション）が整備され、さらに保育所などを備えた地上4階建ての施設棟も併設される予定、複合市街地の形成による定住人口の増加と、子育て環境の整備を目指すとしています。

また、オープンスペースとして広場や歩道状空地も整備し、災害時の避難スペース・緊急車両の進入経路を確保するほか、建物内には災害時の一時滞在スペースを設定。食料等も備蓄し、地域の防災性向上を図るとしています。

変わりゆく街並みは地域経済の起爆剤となるか

新宿中央公園よりも西に位置する西新宿五丁目エリアは、昔ながらの閑静な住宅街や、地域密着型の商店などが数多く集まるエリアですが、建物の老朽化や土地の有効利用がされていない点、公園などのオープンスペースの不足や災害に対する脆弱性などから、地域のブランド力や活力の低下につながってしまっている現状があります。

防災性の向上のみならず、居住環境の改善や、延いては地域経済の活性化を目指し、1997年に発足した西新宿五丁目の再開発計画は、近年になって建物の建て替えや道路幅員の拡大、公開空地の整備など、活況を迎えています。

計画では、十二社通り沿いの中高層建造物とのバランスを取る建物形状・配置とする他、新宿駅周辺など近隣で相次いで行われている再開発事業と連携し、周辺の高層建造物群との調和を図ったスカイライン（遠景）の形成を目指すとしています。これにより、これまで存在しなかった高層ビル群が新宿中央公園や十二社通りよりも西側の西新宿五丁目エリアに相次いで出現することで、街の景観そのものが一変することとなるでしょう。

災害に強く、住みやすい街となるだけでなく、景観や動線も変わることで街を一層賑やかに…西新宿五丁目の再開発計画にはそのような目論見もあり、今後再開発計画によって西新宿五丁目エリアがどのように変化していくのか、注目していきたいと思います。

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