賃貸オフィスコラム

新型コロナウイルス（COVID-19）感染症の流行に伴い、テレワークや在宅勤務が普及するなど、オフィスにわざわざ出勤する必要のない、新しい働き方が推奨されるようになりました。その結果、企業のオフィス移転や拠点の縮小・統一が相次ぎ、新宿や渋谷などの副都心エリアを象徴する超高層ビルにおいても空室が目立つようになりました。一方、飲食店や呉服店の出入店が相次いでいる新宿駅東口エリアでは、注目の都市型店舗も新たにオープンしました。今回は、新宿駅東口エリアの現状を解説します。

超高層ビルに大空室が出現

※JR東日本ビルディング公式ホームページより引用

新宿賃貸事務所.comの賃貸オフィスコラムでは、新型コロナウイルス（COVID-19）感染症の流行に伴うオフィスビルの空室率について、西新宿・渋谷エリアと東新宿・恵比寿エリアに分けて解説してまいりました。（西新宿・渋谷エリアについてはこちら→オフィスがいらない？在宅勤務で変化する新宿の高層ビル、東新宿・恵比寿エリアについてはこちら→オフィスの空室率上昇、東新宿・恵比寿の現状は？）

その後も、テレワークの普及などでオフィスの利用状況を見直す企業が相次ぎ、新宿や渋谷の超高層ビルでは空室率が上昇、数千坪規模の大きな空室が発生するようになりました。

JR新宿駅とバスタ新宿に直結しているJR新宿ミライナタワーでは、入居していたIT企業のLINEが本社を四ツ谷へ移転したことから、9フロア分が一気に空室に。その後3フロアが埋まりましたが、残りの6フロア3,780坪は空室となっています。

KDDIの本社移転に伴い大量の空室が発生する見込みだった渋谷ヒカリエは、その後IT企業を中心に入居が相次いだことから満室稼働状態でしたが、ローリーズファームやニコアンドなどを展開するアパレル企業のアダストリアが1フロアを減床。更にIT企業のDeNAが、2021年8月に本社を渋谷スクランブルスクエアへ移転、横浜に新拠点を開設する方針であることから、現在入居中の7フロア全てが空室となることになりました。これで渋谷ヒカリエには合計8フロア5,370坪もの空室が発生することになります。KDDIの移転時と同様にこれらの空室が新企業の入居によって埋まるのか、今後の動向が注目されます。

都市型店舗のオープンは周辺活況の起爆剤になるか

※Google Mapより引用

飲食店やブランド店の閉店が相次ぎ空室が増えている東新宿・歌舞伎町エリアですが、メインストリートである新宿通り沿いを中心に新規開店の動きも目立っている他、新宿四丁目には注目の店舗もオープンしました。

甲州街道と明治通りが交差する新宿四丁目交差点に面した京王新宿追分ビル、以前はフォーエバー21新宿店が入居していた所に、5月1日、IKEA新宿がオープン、国内では原宿と渋谷に次ぐ3店舗目の「都市型店舗」となっています。

地下1階～3階までの4フロアに入居し、リビングや寝室などカテゴリーごとに1,600点に及ぶ家具・雑貨を展示しています。また、収納問題などの解決を目指した提案や、展示品や入れ替え品のアウトレット価格での販売の他、IKEAとしては国内初となる北欧デリの量り売りも行っており、多様なニーズにこたえる新たな都市型店舗として注目を集めています。

見直し進むオフィスの利用形態

テレワークの普及に伴い、オフィスに出向く必要性が低下したことから、オフィス運用を見直す企業が相次ぎ、オフィスビルの空室率が上昇しています。

新型コロナウイルス（COVID-19）の流行が収束した後も、新しい働き方が定着すると見込まれ、従来のオフィスに出勤するワークスタイルからの転換から、更にオフィスの移転・縮小が行われる可能性があります。その場合、新宿や渋谷などの超高層ビルで空室が発生したら、なかなか埋まらず今後も空室率が上昇していくのか、それとも別の企業によって空室がすぐ埋まるのか、今後もオフィスビルの動向に注目してまいります。

オフィスのみならず、小売業でも店舗の閉店と新規開店が相次いでいます。新宿駅周辺の大通りを中心に、これまでと違う景観が広がることが予想され、どのような企業が動いていくのか、こちらも注目してまいります。

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