賃貸オフィスコラム
迫る民法改正、賃貸借契約の変更点を解説
2017年に民法の一部改正が可決され、2020年4月から施行されます。保証に関するルールが変更になり、特に賃貸関連で注目すべき大きな変更点として、保証契約における「極度額の明記」が挙げられます。
今回は、改正民法の賃貸借契約における変更点・注意点について解説します。
保証契約とは?

保証契約とは、借金の返済や代金の支払などの債務を負う「主債務者」がその債務の支払をしない場合に、主債務者に代わって支払をする義務を負うことを約束する契約をいいます。
簡単に言えば、ローンを組むなどの借り入れを行った人と同じ責任を負うことを示す(保証する)契約のことで、同じ責任を負う事になる人のことを「保証人」と呼びます。
保証人を立てる事で、主債務者はローンなどの融資を受ける事が出来、また金融機関側は、万が一主債務者がローン返済を滞納した場合、保証人にその借金を肩代わりしてもらうことで、債務の回収を行う事が出来ます。
保証には、将来にわたって発生する不特定な債務を全て保証する「根保証」と、連帯責任を負う「連帯保証」があります。実際には、ローンを組むなど大抵の場合は「連帯保証」が主になっています。
保証契約のリスクと民法改正の理由

保証人になった人は、主債務者が住宅ローンなどの借金を返済しない場合などに、借金を肩代わりし返済する義務を負う事になります。もしこれに応じないと、保証人の自宅などの不動産が差押え・競売となって追い出されることになったり、給与や預貯金の差押えなどを受け、強制的に支払いをさせられることになります。
特に連帯保証だと、主債務者ではなくいきなり連帯保証人に請求してきた場合でも拒否権がなかったり、「主債務者には返済に充てられるだけの財産があるのだから、先に主債務者の財産を差し押さえて」といった主張ができなかったり、滞納に対する督促のタイミングが早かったり、と、制約が厳しく、連帯保証人の責任は非常に重いものになっています。
そんな中で、保証人が肩代わりすることになる限度額(極度額)については、これまで具体的な明記はされていませんでした。そのため、長い付き合いのある友人・恋人・家族などに「迷惑はかけないから」「名前だけ貸してほしい」と言われ、義理人情など人間関係から断り切れず、安易に保証人になった結果、突然多額の借金の返済を求められ、返済できずに不動産や給料の差押え・自己破産などに陥るケースが相次ぎました。保証人になったからには、契約書に記載が無いのであれば、債務総額が何千万円だろうと何億円だろうと、全ての債務に対し責任を負わなくてはならない可能性を含んでいました。
今回の民法改正には、そんな現状を鑑み、保証人の保護を目的にしたものも含まれています。
極度額の無い個人の根保証契約は無効になる

今回の民法改正で、保証人の保護を目的に盛り込まれたものが、「極度額の無い個人の根保証契約が無効になる」というものです。
当てはまるケースとしては、家やオフィスなどの賃貸借契約、継続的な売買契約など、長期的にどれくらいの債務が発生するのか分からない保証契約です。
極度額とは、保証人に生じる支払い義務の上限額のことで、これまで明記されてこなかったため、保証人が予想外に膨大な借金の返済を求められ困窮するという事態が多発していました。
これを防ぐため、契約時に極度額を設定していない、または契約書に極度額についての記載がない、個人(会社などの法人以外)の根保証契約は無効になるというルールが今回の民法改正で導入されました。
ただし裏を返せば、極度額までは責任を負う事になるので、保証人となる契約の際には注意が必要です。また、債権者側も、この記載がないと契約自体が無効になり、保証人への支払い要求ができないので注意しましょう。
賃貸借契約を結ぶ場合は極度額にご注意を

改正民法が適用されるのは、2020年4月1日以降に締結される保証契約なので、現在既に締結済みの契約については適用されません。
2020年4月1日以降の個人の根保証契約においては極度額の明記がありますので、支払い能力を超えていないかどうか、契約時に確認してみましょう。
債権者側も、契約書の条文に漏れがないよう、準備が必要です。法務省や国土交通省から参考資料も公表されているので、参照してみるのはいかがでしょうか。
その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。
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