賃貸オフィスコラム

1.はじめに

　オフィスの新規設置や既存オフィスの移転を行う際、ひとつの選択肢としてセットアップオフィスの賃貸があります。セットアップオフィスとは、内装が完成された状態でレンタルすることが出来るオフィスのことであり、オフィスに必要な家具のレンタルや内装工事が不要となるのが特徴です。
　今回のコラムでは、このセットアップオフィスに注目し、そのメリット・デメリットや選び方について調べていきたいと思います。

2.様々なオフィスの形とその差異

　セットアップオフィスにかかわらず、オフィスの賃貸には様々な形式が存在します。そこで、まずは他の形式のオフィスとセットアップオフィスの違いについて見ていきたいと思います。
2-1.居抜きオフィス
　居抜きオフィスとは、前のテナントで使用していた内装・設備をそのまま借りることが出来るオフィスです。その最大のメリットは、セットアップオフィスと同じく内装工事や設備整備が不要という点になります。
　一方で、セットアップオフィスと違い、居抜きオフィスの内装は前のテナントの特徴がはっきりと残ったものになるため、内装に求める方向性などがずれていると、満足いくオフィスにはならない可能性があります。
　また、契約によっては、原状回復の義務などを引き継がなければならず、退去時に工事費用等のコストが発生してしまう可能性があるため、注意が必要です。
2-2.サービスオフィス
　サービスオフィスとは、オフィスに必要な家具や設備があらかじめ整備された状態で借りることのできるオフィスです。メリットとしては、あらかじめ内装が用意されているため、セットアップオフィスと同じく入居後すぐに事業が始められるという点が挙げられます。
　さらに、サービスオフィスには、受付代行や郵便物受け取りなどのサービスも付随していることが多く、他のオフィス以上に手厚いサービスを受けることが出来ます。
　また、駅近やビジネス街などの好立地な物件も多く、従業員の満足度を高める効果も期待できます。
　他方、セットアップオフィスなどの他のオフィスと比べて、初期費用や賃料は割高であることが多く、内装の変更も出来ない場合が多いため、資金が少ないベンチャー企業や内装を変更する可能性があるスタートアップ企業には不向きである可能性が高いです。

3.セットアップオフィスのメリット・デメリット

　セットアップオフィスには、オフィスを選ぶうえで明確なメリットに成りえる要素が多いです。しかしながら、選択するうえで気を付けなければならないデメリットが存在することも事実です。そこで、この章ではセットアップオフィスのメリット・デメリットを解説し、どのような会社にセットアップオフィスは向いているのかを考えていきたいと思います。
メリット
3-1.入居後すぐに事業を開始できる
　セットアップオフィスの最大のメリットともいえるのが、契約開始から事業開始までの機動力です。通常のオフィスであれば、物件そのものの契約以外にも、内装の工事や必要機材の搬入、通信環境の整備など、事業を開始するまでにしなくてはならない工程が大量に存在します。
　その点、セットアップオフィスであれば、既に内装や設備は整っているため、入居後すぐに事業を開始することができます。
3-2.初期費用が少なく済む
　セットアップオフィスは、他のオフィスと比べて初期費用が少なくすむ傾向にあります。一般的なオフィスでは、内装工事の実施やオフィス用品の購入・レンタルなど、契約後に発生する諸費用が多いです。これらを削減することができるセットアップオフィスは、資金不足に陥りやすいベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、とても魅力的なメリットを有していると言えます。　
デメリット
3-3.賃料が高い
　セットアップオフィスのデメリットとして、他のオフィスと比較して賃料が高くなりやすいという点があります。内装とセットで借りることができるというのは、内装工事などにお金をかける必要がないというメリットである一方、内装分の料金が賃料に上乗せされているというデメリットでもあります。そのため、最終的な支払額は他のオフィスよりも高額になってしまうケースが多く、よく考えてから移転しなければ大きな負担になってしまう可能性があります。
3-4.レイアウトは後から変更できない
　セットアップオフィスの抱えるデメリットの中で大きなものとして、入居後に内装を変更することが難しいというものがあります。内装とセットでの賃貸契約である以上、既存の内装を借主が自由に変更することはできません。その性質上、オフィスに自社のイメージを反映したい企業や事業拡張による積極的な機材導入を行う可能性がある企業には、セットアップオフィスは不向きである可能性が高いです。

4.セットアップオフィスの選び方

　ここまでは、セットアップオフィスを借りることのメリット・デメリットに焦点を当ててきましたが、ここからは、セットアップオフィスを借りるときのポイントについてまとめていきたいと思います。
　セットアップオフィスは、内装工事が不要という点においてとても魅力的な選択肢となりえますが、選択を誤ってしまえば、充分とは言えない環境で働かざる負えなくなってしまいます。
　そこで、この章では、セットアップオフィスを選ぶうえで特に注意すべきポイントをまとめていきたいと思います。
4-1.広さ
　オフィスの広さは、セットアップオフィスに限らず、オフィスを選ぶうえで主軸となる部分です。従業員の数や快適に仕事をするための余剰空間も含めて、ご自身の会社がどれだけの広さをオフィスに求めるのかをあらかじめ考えておく必要があります。
4-2.機能性
　セットアップオフィスを選択する上で忘れてはいけないのが、オフィスに求める機能性を考えておくことです。セットアップオフィスはその性質上、あとから環境を変えることが難しくなっています。そのため、業務を行う上で必要となる通信環境や設備、会社のイメージに合う内装などを検討し、ご自身の会社にあったオフィスを選択できるように、準備しておく必要があります。
4-3.セキュリティ
　オフィスにおいて重要な要素のひとつがセキュリティです。セキュリティ対策とは鍵や機械警備などに限らず、会議室の音漏れ対策や資料廃棄のための設備の有無なども含まれてきます。特に、貸会議室やラウンジなどの共有スペースを利用する機会が多い場合、それらの設備に情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策が導入されているのか、確認することが必要です。

5.おわりに

　今回のオフィスコラムではセットアップオフィスの概要と、その他のオフィスの違いなどについてまとめました。セットアップオフィスは初期費用のコスト削減や、入居後すぐに事業を開始することができるといった魅力的な面も存在しますが、レイアウトの変更が難しいことや、賃料が他のオフィスに比べて高いというデメリットも存在します。ですのでセットアップオフィスを選ぶ際は十分な注意を払っていきましょう。
　その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。
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