賃貸オフィスコラム

スタートアップ・ベンチャー企業に有用な補助金・助成金とは?

はじめに

 企業の資金調達において銀行からの融資と同じくらい人気なのが補助金や助成金の活用です。特に創業から間もないスタートアップ企業やベンチャー企業にとっては、「借金」となる融資よりも、国や自治体による返済不要の補助金・助成金は上手く活用できれば非常に強力な資金調達方法となります。
 本コラムでは、これから起業・独立しようと考えている方、あるいは創業間もないスタートアップ・ベンチャー企業の担当者様に向けて利用できる助成金・補助金を解説します。

1.補助金と助成金の違いとは?

 補助金・助成金ともに国や各地方自治体が、企業に対して資金面で支援を行うものですが、補助金と助成金で一体どのような違いがあるのか知らない方も多いのではないかと思います。

 補助金と助成金を大まかに分類すると以下の表のようになります。
 最も大きな違いは、補助金は金額が大きく受け取るハードルも高い一方、助成金は金額は小さいけれども要件さえ満たせば原則として受け取ることができます。また、補助金の多くは、採択件数や金額が予め決められているため、申請したとしても必ず受け取れるとは限りません。むしろ、提案の中身の審査で需給の可否が決まり、倍率が数倍から数十場になることも珍しくありません。つまり、補助金を受け取れる企業の方が少なく、多くの企業は審査に落ちてしまっています。その他にも、ほとんどの補助金は公募期間が定められていますが、助成金の多くが通年で公募しています。
 以上の点から、補助金と助成金という言葉そのものの意味合いに大きな違いはありませんが、金額、受け取るハードルの高低をはじめとして、需給の申請をする上では、補助金と助成金は大きく異なります。

補助金 助成金
主な目的 ①新規事業支援
②地域振興
③公益事業促進など
雇用・労働環境の改善など
主な管轄 ①経済産業省
②中小企業庁
③地方自治体
厚生労働省
給付額 大きい
数百万円~数十億円
小さい
数十万円~数百万円
受け取るハードル 高い
多くが審査有り
低い
要件を満たせば
原則受け取り可能
公募期間 短い
多くが公募期間有り
長い
多くが通年公募

2.補助金・助成金を受け取るメリット・デメリット

 補助金・助成金を受け取ることは、メリットだけでなく、デメリット、あるいは注意点も存在します。むやみやたらに補助金・助成金を申請してしまうと、最悪の場合、自社の首を絞めることにも繋がりかねません。そのようなケースを避けるためには、自社にとって必要な制度を吟味して申請することが非常に重要となるため、補助金・助成金を受け取る際のメリットとデメリット(注意点)を解説します。

メリット
①ほとんどが返済不要

 補助金・助成金は一部を除き、ほとんどが返済不要です。そのため、金融機関からの借り入れと比較するとリスクが非常に小さい資金調達方法であり、自己資金からの出費を抑えることができます。

②労働環境の整備ができる
 申請を行う上で、就業規則や労使協定書といった各種書類を提出することが求められることがあります。そのような場合に労務管理体制が基準を満たしていない場合、申請は通りません。そのため、申請を機に労務管理体制を見直すとともに、交付金を利用することで労働環境の整備ができます。

③事業価値が高まる
 特に、審査が厳しく、受け取る難易度が高い補助金の場合、審査に通ることそのものが、事業価値が高いと行政が認めたことになります。併せて、企業の信用もそれまでよりも高まります。さらに、審査に通るためには事業計画のブラッシュアップも必要となるため、申請以前よりも高度な事業となることが多いです。

デメリット
①原則後払い

 補助金・助成金ともに原則「後払い」であることがほとんどです。そのため、必要な資金を自己資本で賄うか、借り入れを行い、その後清算という形となります。つまり、自己資金を用意することも借り入れも難しい場合は補助金・助成金を受け取ることはほぼ不可能となってしまいます。

②必要書類の作成に時間がかかる
 申請の為の必要書類には、事業計画書や収支計画書、申請書類など様々な書類を準備しなければなりません。当然、提出書類に不備があった場合は資金の受け取りができないため、慎重に作成する必要があるため、時には各種士業の専門家に書類作成を相談したり、代行してもらう場合も考えられます。また、難易度が高い補助金を申請する場合、自社の事業に価値がある、光るものがあると認識してもらう必要がある点も注意が必要です。

③制度が変更・廃止される場合がある
 毎年度の予算の割り当てや政策によって、減額や公募が停止される場合も考えられます。今年度募集をしたからといって、来年度も同じ金額で募集を行うとは限らないため注意が必要です。補助金・助成金のサイトは定期的にチェックを行いましょう。

④課税対象となる
 補助金・助成金は「雑収入」として扱われるため課税対象となります。法人の場合は法人税、個人事業主の場合は、所得税として扱われます。ただし、消費税は不課税となります。適切な税務処理を行うために税理士や会計士などの専門家と相談することをおすすめします。

⑤使途が限定されている
 特に税金が原資となっている補助金は、使途が限定されているため、自由に使えないことが大きなデメリットです。審査が通った後も、補助金が当初の目的通りに使用されているか非常に厳しくチェックされます。

 上記の内容をまとめると、以下の通りです。

メリット デメリット(注意点)
①ほとんどが返済不要 ①原則後払い
③労働環境の整備ができる ②必要書類の作成に時間がかかる
③事業価値が高まる ③制度が変更・廃止される
場合がある
/ ④課税対象となる
/ ⑤使途が限定されている

3.おすすめの補助金・助成金を紹介!

 ここでは、スタートアップ期に利用できる補助金・助成金をいくつかご紹介します。

①スタートアップ創出促進保証制度
 スタートアップ創出保証制度とは、2023年3月から開始された経営者が企業の連帯保証人になることを不要とした新制度です。スタートアップ企業が金融機関から融資を受ける際に、国が一定の割合を保証することで、スタートアップ企業は金融機関から有利な条件で融資を受けることができます。

②IT導入補助金
 IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が生産性向上や経営課題の解決に役立つITツールを導入する際に役立つ補助金で企業間取引のデジタル化の推進を目的としています。基本的には、会計ソフトやクラウドサービス利用料の補助が主な目的ですが、「会計」「受発注」「決済」「EC」のいずれかの機能を備えたソフトウェアの導入と合わせることでパソコンやタブレット、プリンターなどの購入も補助の対象となります。

③小規模事業者持続化補助金
 小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が、働き方改革や賃上げ、インボイス制度などに対応するための制度です。スタートアップ企業が小規模事業者持続化補助金を活用することで、広告宣伝や店舗改装、新メニューの導入、オフィス移転など様々な用途に使用することができます。

その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。

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