賃貸オフィスコラム

1.フリーアドレスとは

　フリーアドレスとはオフィスの中で固定の席を設けずに、自分の好きな場所で働くワークスタイルのことを指します。個人席を決めずに空いている席を使うことにより、外回りのような、その時点でオフィスを使用していない人の分のスペースを有効活用することができます。

　　フリーアドレスの起源は1987年に清水建設株式会社の技術研究所が試験的に導入したものとされています。当時は社員一人あたりに割り当てるスペースを大きくすることや、空席率を考慮して適切なサイズまでオフィスの規模を縮小することによって、固定費を削減することが主な目的でしたが、IT技術の発展による従来のデスクトップパソコン、固定電話、紙ベースの書類管理がメインだった働き方から、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンの普及によるペーパーレス化、クラウド化が進んだため、コスト削減だけでなく、社員のモチベーション向上や、社内コミュニケーションの促進を期待して導入が増えつつあります。

2.フリーアドレスのメリット、デメリット

ここではフリーアドレスのメリット、デメリットについて解説していきます。

メリット
①スペースの有効活用
　オフィスをフリーアドレスにすることによって、従業員ごとにデスクが割り当てられている従来型のオフィスでは、外回り営業や出張、またはテレワークと言った様々な理由で生まれていたデッドスペースをなくすことができます。
　空いたスペースを有効的に利用することで、省スペースの実現だけでなく、空間的余力を他分野に振り分けることができます。

②コミュニケーションの活性化
　フリーアドレスのメリットとして、他部署所属の人物と交わる機会が固定席と比べて増加します。従来の固定席を撤廃することで、単純な組織内の情報交換だけでなく、これまで関わりの少なかった部署との自由闊達な意見交換が実現します。

③業務効率・生産性の向上
　フリーアドレスの導入は業務効率や生産性の向上にも効果的です。フリーアドレスオフィスであれば、従業員がその日の気分や業務内容に応じて適切な環境で仕事に取り組むことができ、業務効率や、生産性の向上を促します。

④すっきりとしたオフィス維持
　フリーアドレスを導入した場合、個人の書類等を溜め込むスペースが存在しないため、必然的に整理整頓をしなければなりません。そのためすっきりとしたオフィス空間を維持することができます。

デメリット
①初期コストの負担
　フリーアドレス導入への初期コストとして、無線LANの導入、オフィスレイアウトの変更に伴う工事、出退勤などの勤怠管理方法の確立が必須になります。また、オフィス家具、備品の買い替えと言ったフリーアドレスを機能させるための環境整備にも別途でコストがかかります。

②セキュリティの不安
　フリーアドレスを導入すると誰がどこにいるのかが不明確になり、セキュリティに不安が生じるため、入退室管理システムの導入や、社内での社員証の形態の義務化・厳格化、セキュリティ教育の実施が必要となります。その他にも、社員の私物の置き場がなくなるため、紛失対策も行わなければならないかもしれません。

③フリーアドレスの形骸化の恐れ
　大学の講義を思い出していただきたいのですが、大人数が1つの空間で作業をする場合、一定の時間が経過すると、仲の良い人同士で固まったり、同じチームで固まることが増加し、名目上は自由席であったとしても、実質的に固定席となってしまう場合があります。これがフリーアドレスを導入した社内で起こってしまった場合、かけたコストが無意味となってしまいます。そのため、事前の防止策としてフリーアドレスを実現する理由やどのように活用すべきかといった具体的な事例などを事前に周知する必要があります。

その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。

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