賃貸オフィスコラム
普通借家契約と定期借家契約はどう違うの?
賃貸物件の契約は「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類の契約が法律で定められていることをご存じでしょうか?
この2種類の契約は借地借家法で定められているもので、国土交通省が2022年度に行った調査によると、三大都市圏において94.8%が普通借家契約を利用しています。ここからわかるように、多くの物件は普通借家契約であるため、定期借家契約そのものをご存じなかった方も多いのではないかと思います。
そこで、今回のコラムは普通借家契約と定期借家契約の違いについて、大きな違いに絞って解説します。これまであまり馴染みのなかった定期借家契約が、ご自身にとってメリットがあるのか、ないのかの判断材料としてみてください。
1.普通借家契約とは?
①契約方法
普通借家契約は書面だけでなく、契約の締結が可能です。貸主による説明義務は特段ありません。ただし、トラブル防止のため、契約書を作成することが一般的です。また、貸主との直接取引ではなく、不動産会社が契約の仲介を行った場合は、契約書を作成し、貸主・借主双方に交付することが義務化されています。
②契約期間
普通借家契約は一般的には契約期間を2年に設定します。契約期間を1年未満に設定すると、期間の定めのない契約と見なされるため、各当事者がいつでも解約を申し入れることができてしまうため、普通借家契約では契約期間を最低1年と設定します。また、物件にもよりますが、更新の際に更新料、もしくは更新事務手数料が必要になります。
その他にも普通借家契約は、借主が物件を引き続き物件を利用することを希望している場合、「正当な事由」がなければ貸主は借主に対して中途解約の申し出や、契約の更新を拒否することはできません。
反対に、借主側からの中途解約は特約を予め定めていれば可能です。仮に、特約を定めていない場合、中途解約の申入れから2〜3ヶ月間は契約が継続するとするか、借主が2〜3ヶ月分の家賃を支払うかのどちらかを条件として、中途解約を認めることが一般的なケースです。
2.定期借家契約とは?
定期借家契約は一定期間確実な家賃収入を得られる店舗やオフィスなどの事業用不動産で数多く利用されている契約形態です。普通借家契約とは異なり、契約の更新はないため、期間満了によって契約は終了します。
①契約方法
定期借家契約は口頭での契約は認められていません。そのため、必ず公正証書などの書面によって契約を行う必要があります。さらに、賃貸借契約書とは別に契約の更新がないことを書面で交付し説明する義務があります。
②契約期間
普通借家契約の最低契約期間は1年間でしたが、定期借家契約に契約期間の制限はなく、自由に設定できます。そのため、1年未満の契約も有効となります。
前述のように契約の更新は基本的にはできないため、期間満了に伴い賃貸借契約は終了します。ただし、再契約が可能な場合は、それにより、同じ物件を継続して利用することができます。
普通借家契約は借主からの中途解約はいつでも可能でしたが、定期借家契約は貸主・借主のどちらとも、基本的に中途解約はできません。例外として、床面積200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情がある場合に限り、借主側から中途解約を申し入れることができます。貸主側から中途解約の申し入れはできません。特約がある場合はそれに従いますが、借主に不利となる特約は無効となります。
まとめ
これまで普通借家契約と定期借家契約の違いについて解説してきましたが、普通借家契約と定期借家契約の最も大きな違いは物件を長く利用できるかどうかです。
普通借家契約は契約期間満了後も、更新を行うことで、そのまま物件の利用を継続することができます。それに対し、定期借家契約は契約の更新が不可能です。物件を継続して利用できるかどうかは交渉次第となるため、物件を継続的に利用することは向いていません。ただし、普通借家契約と同じ条件の物件がある場合は賃料が安い場合が多いため、メリット・デメリットをよく考えたうえで検討しましょう。
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
---|---|---|
契約方法 | 口頭、書面どちらも可能 | 公正証書などの書面のみ |
契約更新 | 借主が希望すれば原則更新可能 | 不可(再契約は可能) |
契約期間 | 最低1年以上 | 制限なし |
中途解約 | 借主から申し出ることは可能。貸主から申し出ある場合正当事由が必要 | 貸主、借主ともに原則不可(例外有り) |
その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。
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