賃貸オフィスコラム
小さなことから始めよう!オフィスでできるSDGsへの取り組み
最近ニュースなどでよく耳にする、SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)。2015年に国連で採択されて以降、日本国内では認知度が低かったですが、2020年頃から経済産業省や経団連など官民一体となって推進されるようになりました。
全17ある目標は、貧困や飢餓の撲滅、福祉厚生や公衆衛生の改善、地球環境や資源の保全、性別や教育などのあらゆる差別の解消などから構成され、その中には、雇用や経済成長の促進、産業化や技術開発の推進といった、各企業でも取り組むべき目標が設定されています。
もちろん、会社において取り組むべき目標はそれだけではありません。しかし、いざSDGsに取り組むとしても、具体的にはどのようなことに取り組めばよいのでしょうか?そして、それによって各企業が享受するメリットとは何なのでしょうか?
今回は、どの企業でも実施できるような一般的なSDGsへの取り組み方について解説します。
企業がSDGsに取り組むメリット
ニュースなどで耳にするようになったSDGs。いざ取り組もうと思っても、時間もコストも手間もかかるので、なかなか取り組めないという企業もあるでしょう。
しかし、そういったデメリット以上に、SDGsに取り組むことで得られるメリットの方が大きいといえます。
まず、SDGsに取り組んでいることを企業がアピールすれば、SDGsに対する社会的関心が高まっている中、企業に対するイメージが向上することが見込まれます。
ただし、アピールするだけではいけません。例えば8番目の目標「働きがいも経済成長も」に取り組むため、生産的かつ人間的な雇用を目指すとすると、実際に雇用形態などを見直す必要があります。それにより社会問題化している課題の解決に実際に貢献することができます。
それらの功績が認められれば、社会的信頼は相応に高まったと言えるでしょう。その段階まで至れば、多様性のある優秀な労働力が確保できるのみならず、新規顧客やパートナー企業の獲得といった、ビジネスチャンスの拡大にも繋がります。
そして、持続的にそれらの目標に取り組み続けることで、延いては自社の長期的な生存戦略にもなります。社会貢献もしつつ、巡り巡って自社の生存戦略にも繋がるため、SDGsに取り組むことは総じてメリットが大きいことがお判りいただけたかと思います。
目標ごとに見る、オフィスでのSDGsへの取り組み方
企業においてSDGsに取り組むことのメリットが分かったところで、次は具体的にどのような取り組み方をすればよいのか、企業姿勢や重視したい目標ごとに見ていきましょう。
①環境問題に対する意識を向上し取り組む
関連する目標…
最も取り組むべき目標として、環境問題が挙げられるでしょう。一方で、企業レベルで環境問題に取り組むにはハードルが高い、と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はそうとも限りません。コロナ禍で普及したオンライン会議の導入は比較的簡単にできますし、昨今CMなどで話題になっているDXやペーパーレス化により、これまで会議資料や請求書などに必要だった紙資源を節約することができます。
中小企業でも簡単に行えるペーパーレス化だけで見ても、製紙に必要な天然資源の削減に繋がり、元を辿れば森林破壊やそれに伴う生態系や気候の変動を抑止することに一役買うことになるので、一見企業とは関係なさそうな目標⑬「気候変動に具体的な対策を」や目標⑮「陸の豊かさも守ろう」に貢献することになります。
さらに、ゴミの分別・削減やリサイクル品の活用などを行えば、上記2つに加えて、再利用やリサイクルといった3R(Reduce,Reuse,Recycle)に貢献している点は目標⑫「つくる責任 つかう責任」に、プラスチックごみの削減という点では巡り巡って目標⑭「海の豊かさを守ろう」に、それぞれ貢献しているということにもなります。
また、オフィス内で使用する電力を石炭火力などを由来とする化石燃料発電から、太陽光や風力などを由来とする再生可能エネルギー発電に切り替えることで、目標⑦「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にも貢献することができます。太陽光パネルなどを自前で用意するのはコストもかかりハードルが高いですが、最近ではもっと手軽に再エネ電力を導入することもできるようになっています。
(オフィスビルにおける再生可能エネルギー電力の導入についてはこちら→オフィス選びの新時代!ビル業界で加速し始めた「再エネ電力」導入の動き)
②働き方を見直す形で取り組む
関連する目標…
働き方改革や新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行に伴い、在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)を取り入れる企業が増えていますが、実はこれもSDGsに対する取り組みと見ることができます。
自宅でも仕事をすることができれば、オフィスまで通勤する必要がなくなります。通勤ラッシュで混雑した電車やバスといった公共交通機関で移動することがなくなれば、新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症にかかる機会も減るため、目標③「すべての人に健康と福祉を」に貢献していることになります。
一方、人との接触機会を減らすために自家用車で通勤することもあるかもしれませんが、在宅勤務によりマイカー通勤の必要性も薄れると、自動車による二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制でき、これがやがて目標⑬「気候変動に具体的な対策を」にも貢献していると言えます。
通勤需要が減ることにより、公共交通機関の減便や自家用車の削減に繋がり、交通機関の混雑や道路渋滞の緩和に繋がります。これをインフラ・都市空間の改善と見なすことで、目標⑨「産業と技術革新の基盤をつくろう」や目標⑪「住み続けられるまちづくりを」の貢献に繋がっているとも考えられます。
また、コロナ禍収束後の所謂「アフターコロナ」を見据えると、オフィス勤務と在宅勤務を織り交ぜた働き方も提唱されるなど、これまでのやり方に囚われない多岐にわたる働き方が考えられています。これまでの働き方を見直すことで、従業員が働きやすい環境を整えることができ、結果として目標⑧「働きがいも経済成長も」に貢献することができます。働き方の多様性を認めることで、優秀な人材を確保することにも繋がるので、企業の成長にも繋がることでしょう。
③平等性を重視する形で取り組む
関連する目標…
社会問題にもなっている差別撤廃を目指し、従業員が平等に働ける環境整備を重要視することでも、SDGsに取り組むことができます。
日本では、男女雇用機会均等法の制定や女性の社会進出促進により、様々な制度が拡充されてきました。それでも、女性の管理職への登用や、男性の育児休業取得の割合が低いことが度々問題視されており、企業側からアクションを起こしてこれらを率先して行う必要性が出てきています。
また、ここで言う「ジェンダー」とは、肉体的ではなく社会的・文化的な性別のことであり、LGBTQに代表される性的マイノリティに対しても平等に接する必要があります。オフィスにおいても女性や性的マイノリティにとって働きやすい環境を整えることで、目標⑤「ジェンダー平等を実現しよう」に貢献することに繋がります。
そもそも、性別のみならず、国内でもかねてから様々なハラスメントが問題視されるようになり、最近でも妊娠や出産、育児に関するハラスメント、障害者差別とそれに起因する雇止め問題などが相次いでいます。ただ、これら差別・ハラスメントの問題は今に始まった話ではなく、多様性を認める時代となった今、古い価値観を改める必要が出てきています。誰もが不利益を被ることなく働けるような環境整備・制度拡充を行うだけでも、目標⑩「人や国の不平等をなくそう」に貢献することができます。
万が一ジェンダーや障害の有無などに起因する差別やハラスメントが発生したとしても、迅速に適正な対応を行えるように、就業規則への罰則の盛り込みや相談窓口の設定といった、相談を受けてから問題を解決するまでの体制を構築することで、被害者側がフォローを受けるためのアクセス手段を提供することができ、目標⑯「平和と公正をすべての人に」に貢献することができていると言えます。
そして、これら差別やハラスメントを防ぐ土壌を作ることで、どんな従業員にとっても働きやすい職場づくりを行うことができ、従業員の生産性の向上にも繋がることから、目標⑧「働きがいも経済成長も」も同時に貢献することができるでしょう。
④地域密着型の企業として取り組む
関連する目標…
地域に密着した事業展開を行う企業でも、地域貢献を通じてSDGsに取り組むことができます。
ゴミの削減をするだけでも、先述したように、目標⑫~⑮に貢献することができますし、「ゴミが少ない」というのは企業のイメージ向上に繋がりますが、特に地域住民が目の当たりにしているので一番理解してもらいやすいです。
また、お祭りなどの地域のイベントや、ゴミ拾いなどのボランティア活動に参加することで、企業のイメージアップのみならず、地域住民に信頼されながら、暮らしやすい街づくりの一旦を担うこともできるので、目標⑪にも貢献できます。
ワークショップなどのイベントで地域住民と交流することで、地域住民の理解や信頼を得れば、従業員も快適に仕事に臨むことができ、やる気やモラルの向上に繋がることから、目標⑧や⑨の貢献にも繋がります。究極の地域密着型として、地域住民から優秀な人材を発掘することにも繋がるでしょう。
簡単なことからSDGsに取り組もう
持続可能な開発目標(SDGs)が2015年に国連総会で採択された際、これは2030年までに達成すべき世界的な目標であることが示されました。脱炭素化の流れも相まって、官民一体となってこの目標を推進し、日本国内の各企業においても、様々な方法でSDGsへの取り組みが行われています。
導入コストや手間がかかるイメージが先行しているのか、中小企業でのSDGsに向けた取り組みはまだ鈍いと言わざるを得ません。しかしながら、中小企業にとっても実は簡単なこと・基本的なことからSDGsに向けて取り組むことができることが、今回お判りいただけたかと思います。
ゴミの削減や働き方改革、差別やハラスメントを撤廃するという、地球環境問題や人道的観点を鑑みれば、極々当たり前の小さなことが、積もり積もってSDGsに向けた取り組みへとなっていきます。どれが自社にとって取り組みやすいものか、企業の姿勢や理念、事業内容などを顧みながら、どのようにして取り組んでいくかについて検討してみると良いでしょう。
SDGsに取り組むことで、地域住民や一般社会における企業イメージの向上に繋がり、行く行くは新規顧客やパートナー企業の獲得、多様性に富んだ優秀な人材の確保といった、多大なるメリットをもたらすことも覚えておきましょう。
その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。
オフィスビルにも様々な体系があります。新宿賃貸事務所.comを運営する株式会社TFCでは、お客様の状況に応じて、最適なプランをご案内しております。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。