賃貸オフィスコラム
2026年以降のオフィス市況:新宿・都心エリアの「借り時」判断指標
はじめに
2026年4月時点で都心5区の平均空室率は2.20%、新宿区は2.61%、新宿区平均賃料は19,993円/坪です。
加えて、2026~2030年の東京23区大規模オフィス供給は年平均87万㎡と過去20年平均106万㎡を下回る見通しで、相場全体の下落待ちよりも、条件に合う区画を早く見極めることが「借り時」判断となります。
1. 2026年以降のオフィス市況は「様子見」より「見極め」が重要
2026年以降のオフィス市況を判断するうえで、まず押さえるべきなのは、東京都心の需給が依然として引き締まっていることです。
新宿区の情報によると、2026年4月時点の都心5区平均空室率は2.20%、平均賃料は22,454円/坪まで上昇しています。
新宿区も空室率2.61%、平均賃料19,993円/坪と、空室が豊富にある状態ではありません。
さらに、新宿区の調査によると、東京23区では2026年と2029年に一定量の大規模オフィスの供給が見込まれています。
しかし、2026~2030年の平均供給量は年87万㎡ほどで、過去20年間の平均(106万㎡/年)より少ない見通しです。
つまり、供給が完全に止まるわけではないものの、「大量の空室が出て賃料が大きく下がる」という状況にはなりにくいということです。
そのため、経営者や総務担当者が考えるべき視点は「もう少し待てば家賃が下がるか」ではなく、「自社に合う面積・立地で、希望する時期に入居できる物件が出たときに、すぐ判断できるか」という点に移っています。
2026年以降のオフィス移転では、相場の底を狙って待つよりも、「条件に合う物件が出たタイミングを逃さない」ことが現実的です。
2. 都心5区比較:借り時を判断するための相場表
まず、都心5区の中で新宿がどの位置にあるかを確認すると、賃料と空室率のバランスが見えてきます。
2026年4月時点では、新宿区の平均賃料は都心5区平均を下回る一方で、空室率は低水準にあり、コストを抑えやすいが簡単に選べる市場ではない、という立ち位置です。
| エリア | 平均空室率 | 平均賃料(円/坪) | 都心5区平均との差額 |
|---|---|---|---|
| 千代田区 | 1.42% | 24,119 | +1,665 |
| 中央区 | 2.92% | 20,655 | -1,799 |
| 港区 | 2.54% | 22,622 | +168 |
| 新宿区 | 2.61% | 19,993 | -2,461 |
| 渋谷区 | 1.39% | 25,124 | +2,670 |
| 都心5区平均 | 2.20% | 22,454 | 0 |
新宿区は、港区や渋谷区と比べると賃料を抑えやすく、都心性とコストのバランスが取りやすいエリアです。
一方で、渋谷区や千代田区ほどではないものの、空室率はまだ低いため、条件の良い区画を後回しにすると選べる物件が少なくなる可能性があります。
つまり、新宿は「都心の中では借りやすい」ものの、「いつでも多くの物件が空いている」わけではありません。
借り時を判断する際は、賃料が比較的抑えられている今の状況を活かしつつ、空室の少なさにも注意することが大切です。
3. 新宿区内の賃料差比較
新宿区でオフィスを探す場合に注意したいのは、「新宿区平均」だけでは実態をつかみにくいことです。新宿区の2025年12月末時点データでは、区内でもエリアによって募集賃料に大きな差があります。
| 新宿区内エリア | 大規模ビル募集賃料(円/坪) | コメント |
|---|---|---|
| 新宿・歌舞伎町 | 33,143 | 区内でも高水準 |
| 西新宿 | 28,782 | 業務集積が厚く比較対象になりやすい |
| 高田馬場・大久保 | 25,000 | コスト圧縮余地あり |
| 早稲田・神楽坂 | 22,200 | 抑えめの水準 |
| 四谷・市ヶ谷 | 21,300 | 区内では相対的に低い |
最も高い新宿・歌舞伎町と、相対的に低い四谷・市ヶ谷では、11,843円/坪の差があります。
採用面の強さや来客のしやすさ、企業としてのブランド力を重視する場合は、西新宿や新宿駅周辺の優先度が高くなります。
一方、コストを最適化したい企業であれば、四谷・市ヶ谷、早稲田・神楽坂、高田馬場・大久保といったエリアも有力な候補になります。
つまり、同じ新宿区でも賃料水準は均一ではないため、「新宿区で探すかどうか」ではなく、「新宿区のどのエリアで、何を優先するか」を基準に借り時を判断する必要があります。
4. 2026年以降の「借り時」はどこで判断すべきか
2026年以降の「借り時」を判断するには、単に賃料相場を見るだけでなく、空室率、今後の供給予定、物件グレード、必要な面積といった要素を総合的に確認する必要があります。
特に、大規模な移転やハイグレード物件を求める企業ほど、「待つことによるメリット」は小さくなります。
現在、東京都心6区の募集ベース空室率は約1.88%、新宿区は約1.49%と低く、基準階300坪以上・駅徒歩10分以内といった条件になると、希望するフロアを確保しにくくなっています。
つまり、床面積や駅からの距離など条件を細かく設定するほど、表面的な相場以上に、実際に選べる物件は限られてしまいます。
今後の供給については、都心3区への集中が進む一方で、西新宿など、ここ5年ほど新規供給が少なかったエリアでも新しい供給が予定されています。
これは、新宿エリアでも再開発を通じた新たな選択肢が出てくる可能性を示していますが、それが市場全体の賃料下落を意味するわけではありません。
供給が増える年であっても、需要が強ければ空室は埋まり、賃料は維持あるいは上昇するためです。
まとめ:新宿・都心エリアで失敗しない借り時判断
2026年以降の新宿・都心エリアで「いつ借りるべきか」を判断する際に大切なのは、「相場が下がるまで待つこと」ではなく、「自社の条件に合う区画が出たときに、すぐ比較・判断できる状態を整えておくこと」です。
現在、都心5区の空室率は低く、賃料は上昇傾向にあります。供給量も長期平均より少ないため、待つことが必ずしも有利とはいえません。
その中で新宿区は、港区や渋谷区より賃料を抑えやすく、都心性とのバランスが良いエリアです。ただし、新宿区内でも賃料差が大きく、西新宿と四谷・市ヶ谷では坪単価に大きな開きがあります。
そのため、借り時を見極めるには、「新宿区の平均賃料」ではなく、「どの小エリアで、どの条件なら採算が合うか」まで具体的に考えることが必要です。
結論として、2026年以降のオフィス市況では、相場だけでなく、必要面積、駅からの距離、ビルグレード、エリア内の賃料差といった要素を細かく確認できる企業ほど、良いタイミングで物件を確保しやすくなります。
つまり新宿・都心エリアは、「下がるのを待つ市場」ではなく、「条件を整理できている企業から順に機会をつかむ市場」に入っているといえます。