賃貸オフィスコラム

オフィスと消防法の関係

はじめに

 消防法とは、火災を予防し、仮に火災が発生したとしても、被害を最小限にとどめることを目的とした法律です。オフィスの賃貸の際や、レイアウトを変更する際に消防法の確認が必要な場合があります。内容によっては、管轄の消防署へ届け出が必要な場合もあるため、本コラムでは注意点などをご紹介します。

1.消防法で義務付けられているもの

 まず、消防法で義務付けられている設備などをまとめてご紹介します。
1-1.設置が義務付けられている消防設備一覧
 消防法で設置が義務付けられている設備は、以下の4種類です。
①消火設備:消化を行うための設備
 例:消火器、屋内消火栓、スプリンクラーなど
②警報設備:火災を感知し、知らせるための設備
 例:火災報知器、非常放送設備、非常警報設備など
③避難設備:災害時に避難するための設備
 例:誘導灯、非常用照明、避難はしごなど
④消防活動用設備:消防隊が消火活動の際に使用する設備
 例:排煙口、非常用コンセント、連結送水管など
1-2.防火管理者の選定
 次に、全てのオフィスに必要になるわけではありませんが、収容人数が50人以上の物件の場合、防火管理者を選任し、管轄の消防署へ申請しなければなりません。
 防火管理者は、消防計画の作成や、消防用設備の点検や整備、防火用設備の維持管理などを行う義務を負います。
1-3.消防計画の作成
 消防計画とは、火災が発生した際に被害を最小限に抑えるための計画で、防火防止策や、消防訓練、防災教育などが記載されている必要があります。消防計画の作成は、防火管理者が責任をもって実行する必要があります。

2.消防法違反になってしまう具体例

 賃貸オフィスの場合、借りた時点から消防法に違反することは通常ありえないでしょう。ただし、消防法を事前に確認しなかったために、意図せず消防法違反になってしまうこともあるため注意しましょう。ここでは、消防法違反になってしまう具体的な事例をご紹介します。
2-1.パーテーションの設置
 オフィスレイアウトを変更する際に、パーテーションで空間を区切ることがあります。高さの低いローパーテーションであれば、消防法違反となることはほとんどありませんが、床から天井までをパーテーションで区切った場合、オフィス内に部屋が増えたと見なされるため、管轄の消防署への届出が必要になります。さらに、火災報知機やスプリンクラーといった消防設備は、各部屋への設置が義務付けられているため、それらの増設も必要となります。そのため、工事費用を抑えたい場合、移動型のローパーテーションを使用するか、天井部に開口部がある(欄間オープン)ハイパーテーションを使用すれば、消防設備の増設や管轄の消防署への届出が不要となります。ただし、ローパーテンションと欄間オープンのハイパーテンションは防音性が下がるため注意が必要です。
2-2.備品やオフィス家具などの放置
 オフィスに備品やオフィス家具が増えてくると、通路や消防設備の前に物を置いてしまいがちです。しかしながら、このような物品の放置は避難経路の妨害や消防設備の機能不全を誘発する可能性があり、法律違反になってしまう可能性があります。建築基準法では、通路の片側に部屋がある場合の通路幅を1.2m以上、通路の両側に部屋がある場合の通路幅を1.6m以上と規定しており、これを満たさない場合は建築基準法違反となってしまいます。また、仮に基準を満たしていたとしても、物品等を通路に配置して通路幅が基準以下になってしまった場合、消防法違反となってしまいます。これらのリスクを避けるためにも、通路幅が基準を満たしているのかの確認や定期的に整理整頓を行う社内ルールの整備などが重要となってきます。

その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。

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