賃貸オフィスコラム

首都圏から地方へ…コロナ禍で変化したオフィスの移転先

新宿賃貸事務所.comでは、これまでオフィスの移転に関する情報発信を行ってきました。そして、そもそもオフィスの移転が必要となるケースとして、どういったものがあるかについても、過去のコラムにおいて解説しております(オフィス移転の理由に関するコラムはこちら→オフィス移転の必要性が生じる理由とは)。

特に、まもなく4年目に突入するコロナ禍において、オフィスの存在意義が大きく揺らいでおり、新宿や渋谷といった副都心の超高層ビルからテナントが移転したことで空室率が上昇しているというデータにも現れています(副都心エリアの高層ビル空室率についてはこちら→新宿と渋谷で見られた違い…副都心エリアのビル空室率の現状)。

ところで、高層ビルに入居していたオフィスの移転先はどこなのでしょうか?実は最近、東京などの一等地に居を構えていた本社を地方へと移転させる動きが高まっています。今回は、注目が集まる本社の地方移転について解説します。

首都圏脱出?本社の地方移転に関する興味深いデータ

帝国データバンクの調査によると、2021年上半期だけで186もの企業が本社機能を首都圏から移転、最終的には2021年の1年間でバブル経済崩壊後の1994年を上回る過去最多の351社が本社を首都圏から転出。300社以上の企業が本社を首都圏から転出したのは2002年以来19年ぶり、首都圏に転入した328社を上回る「転出超過」となったのも2010年以来11年ぶりとなりました。

気になる転出先、日本第二の都市を持つ大阪府が46社と過去最多で堂々の第1位となっていますが、これは従来と変わりありません。第2位には北関東の茨城県が37社でランクイン。続く第3位の北海道は2021年の1年で33社が首都圏から転入、この数値はコロナ前の2019年と比較すると5倍弱の伸びとなり過去最多となりました。第8位タイとなった宮城県も、コロナ前の2019年と比較して3倍以上伸び、過去最多14社の転出先として選ばれています。他にも、福岡県や広島県、岡山県などが過去最多となるなど、2021年は首都圏からの本社機能の転出の動きが活発となった1年でした。

注目してほしいのは、2021年のランキングで第4位以下の県では差がほとんどないことです。コロナ前は、首都圏からの本社機能の移転先としては、日本最大都市を抱える大阪府や愛知県の大都市圏、太平洋ベルトに属し工業都市を数多く抱える静岡県、首都圏に程近い北関東3県などが挙げられていました。ところが2020年以降の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症流行に伴い、テレワーク・リモートワークが普及し、感染リスクを負ってまで通勤する必要性が薄れたこと、業績悪化や人員整理によってコストのかかるオフィスの必要性を見直す動きが相次いだことなどが相まって、本社機能を首都圏から移転させる動きが相次ぎ、とりわけこれまでの動きとは異なり、大都市圏ではなく、人口密度の低い地方や、いわゆる中核都市と呼ばれるエリアに本社機能を移転させる動きが目立つようになりました。その結果が2021年のランキングの数値に表れています。

地方へのオフィス移転のメリット

首都圏から地方へ、本社機能を移転させることの目的は、満員電車で通勤することによる感染リスクや、緊急事態宣言などによる経済活動の停滞を回避するだけではありません。コストカットや経済面での優遇措置などで、会社にとってもメリットがある他、通勤時間や生活コストの削減など従業員の負担軽減にも繋がり、パフォーマンスの向上に繋がる可能性も出てきます。

①コスト削減

首都圏のオフィス街と言えば、地価も賃料も高いイメージをお持ちの方も多いと思います。コロナ禍で企業の業績が悪化していれば、日本でもトップクラスの高値になっている首都圏の地価や賃料が重荷になってくるはずです。そのため、首都圏と比較して地価や賃料が安い地方へのオフィス移転を行い、経費削減を図ることもあるでしょう。テレワークの普及もあって、わざわざ都心の一等地にオフィスを構える必要性も薄れてきたと思われます。

また、人件費を削減するために地方への移転を考えることもあるでしょう。この場合、2つのパターンが考えられます。1つは企業の人員削減の結果オフィスの広さを持て余した場合、もう1つはアルバイトスタッフなどの時給・日給を下げたい場合です。こちらも、地方都市なら首都圏と比べても、好立地で規模もそれほど大きくないオフィスも見つかりやすく、アルバイトスタッフの時給も安くなっているため、人件費の削減を行う上で考慮することもあるのではないでしょうか。

②従業員の通勤に対する負担軽減

満員電車や長い通勤時間を回避することができれば、従業員の負担軽減に繋がります。首都圏の通勤風景と言えば、何と言っても満員電車のイメージでしたが、実は、コロナ禍で首都圏を中心に通勤電車の混雑率(乗車率とは異なります)は以前より改善傾向にあり、国土交通省が発表した2021年の通勤電車の平均混雑率のデータでは、最も高くても日暮里・舎人ライナーの144%、一部路線で200%を超え圧迫感を覚えるほどの混雑だったコロナ禍前より大幅に改善されています。

通勤時間の面ではどうでしょうか?都心回帰の動きもあって、東京都心近郊のいわゆるベッドタウンと言われるエリアからの通勤需要は多く、総務省統計局が公開した2021(令和3)年のデータによると、通勤・通学にかける時間は、神奈川県が1時間40分で最も長く第1位、第2位は千葉県と東京都で1時間35分、第4位は埼玉県で1時間34分となっていました。一方、最も短いのは山形県と宮崎県の56分と、第1位の神奈川県とおよそ45分もの開きがあった他、鳥取県や愛媛県でも通勤時間の平均が1時間を切っていました。

オフィスの地方移転により、早い時間の電車に乗ったり長距離を移動したりする手間が省ければ、それによって生じた時間を自分のために有効活用することができますし、延いてはそれによって従業員のポテンシャルを引き出しパフォーマンスの増大に繋がることもあります。満員電車に乗らなくて済むというだけでも精神的負担は軽減されることでしょう。

また、地方であれば賃貸住宅の家賃も首都圏よりは安く済みますし、職場となるオフィスまでの距離が近くなれば交通費の節減にもなります。これは従業員の経済的負担を和らげるのみならず、企業にとっても通勤手当や住宅手当の費用削減に繋がるため、双方にとってメリットになることだと言えます。

③税制優遇措置や助成金による援助

企業の本社機能が東京などの首都圏に集まっている「東京一極集中」の状況を打開するため、危機管理や地方振興の点から国や地方自治体は企業の本社機能の地方移転もしくは分散を積極的に推進しています。

オフィス移転にかかる際の初期費用や、当面の間の賃料の一部、異動となった従業員や現地で新たに雇用した従業員などへの人件費を補助する目的で、経済産業省や各自治体から補助金・助成金が支給されています。補助金・助成金については新宿賃貸事務所.comでも過去の賃貸オフィスコラムにおいて紹介しておりますが、紹介した例以外でも、長野県や岐阜県、名古屋市や札幌市からも類似する補助金・助成金制度が整備されています(補助金・助成金についてはこちら→オフィス移転に活用できる助成金とは)。

また、地方創生の観点から、本社機能を地方へ移転または分散させると、「地方拠点強化税制」という税制優遇措置を受けることができます。「地方拠点強化税制」には2つの減税措置があります。1つ目はオフィス減税(設備投資減税)、2つ目は雇用促進税制です。

東京23区から地方へ移転させる場合、オフィス減税は建物の取得価額に対し特別償却25%もしくは税額控除7%の優遇を受けられます。同じ場合で、雇用促進税制は地方に移転した本社の従業員が増えた人数分に対し1人当たり最大90万円の控除が受けられ、うち40万円はその後最大3年間継続されます。ただし、これは移転先の地方での新規採用または東京23区からの異動で尚且つ正規雇用である場合に限られるなど、様々な条件があります。

地方拠点強化税制は、東京23区に限らずどの地域からでも本社機能の地方移転の際に受けられる減税措置ですが、「東京一極集中」の状況を解決するため、東京23区からの移転の方が手厚く優遇されています。同じように、名古屋市の本社機能等立地促進補助金も、東京23区からの移転の場合、それ以外の地域からの移転に比べると多くの補助金が支給されるようになっています。

企業経営を見直すなら地方移転も視野に入れよう

コロナ禍を契機に相次いでいる企業の本社機能の地方移転。実際にそれは移転先のデータや低下した首都圏の通勤電車の混雑率などに現れています。満員電車で通勤する際の感染リスクの抑制や、緊急事態宣言による経済活動停滞という事態の回避に留まらず、コストカットや従業員の負担軽減という意味でも、有意義であることはお判りいただけたかと思います。

ただ、企業経営を司る本社機能を移転するというのは、思い切った決断です。コストカットや人員整理、業務の効率化など、オフィスを移転させることの目的が一体何なのか、まずは明確にしておきましょう。

また、補助金・助成金の内容は各地方自治体によって異なります。移転に伴うコストなどと照らし合わせ、賃貸オフィスにするのか自社ビルを建造するのか、オフィスレイアウトはどうするのか…考えておかなければならないこともたくさんありますし、官公庁への手続きや引っ越しなどかなり長期的なスケジューリングが必要にもなってきます。移転目的に適うような移転プランを構築していきましょう。

その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下のリンクから是非ご覧ください。

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