賃貸オフィスコラム

サテライト vs シェアオフィス 自社に最適な「第2の拠点」

1. はじめに

本社だけで全社員の働き方を支える時代は、すでに終わりつつあります。
国土交通省の令和7年度調査では、雇用型テレワーカーの割合は25.2%、直近1年間のテレワーク実施率は16.8%でした。
東京都の調査でも、従業員30人以上の都内企業の65.7%がテレワークを導入しています。
第2の拠点を考える背景には、単なる流行ではなく、通勤負担の軽減、育児・介護対応、非常時の事業継続、採用競争力の強化といった経営課題があります。

2. サテライトオフィスとシェアオフィスは、似ているようで役割が違います

総務省は、サテライトオフィスを「企業または団体の本拠から離れた所に設置されたオフィス」と定義しています。
つまり、会社の運営方針や就業ルールの延長線上に置く、自社の遠隔拠点という位置づけです。
一方、J-Net21では、シェアオフィスは大きな部屋を入居者で共有して利用する形態で、固定席がないフリーアドレスが多く、レンタルオフィスより価格が安いところが多いと整理されています。
こちらは「自社専用の拠点」よりも、「必要な機能を共有しながら使う拠点」に近い考え方です。
この違いは、運営の重さにそのまま表れます。
総務省の、地方公共団体が誘致または関与したサテライトオフィス調査では、オフィス形態は独自事務所64%、シェアオフィス34%、入居形態は常駐型65%、循環型33%でした。
第2拠点を「会社の機能の延長」として置くのか、「柔軟な利用の場」として持つのかで、選ぶべき形は変わります。

3. 判断の分かれ目は「常設運営」か「柔軟利用」かです

第2拠点選びで最も重要なのは、設備の豪華さではなく、誰が、どれくらいの頻度で、どの業務を行うのかです。
営業や採用、人事面談、経理補助、バックオフィスの分散配置など、拠点としての継続運用を前提にするなら、サテライトオフィスのほうが制度設計しやすくなります。
逆に、出張時の一時利用、少人数のタッチダウン、プロジェクト単位の短期利用なら、シェアオフィスのほうが無駄が少なくなります。
表1:サテライトオフィスとシェアオフィスの違い

比較項目 サテライトオフィス シェアオフィス
定義 本拠から離れた場所に設置するオフィス 大きな部屋を複数利用者で共有するオフィス
席の運用 常駐・固定運用に向く フリーアドレスが多い
運営の考え方 自社の第2拠点として運営しやすい 必要機能を共有して使いやすい
総務省調査の形態比率 独自事務所64%、シェアオフィス34% サテライトオフィスの受け皿として34%
総務省調査の利用形態 常駐型65%、循環型33% 循環利用と相性がよい
向く使い方 部門常設、BCP、地域採用、分散勤務 短期利用、少人数利用、試行導入、移動拠点

4. 経営判断では「働き方」「BCP」「利用成熟度」を同時に見るべきです

第2拠点は、福利厚生でも不動産投資でもなく、働き方と事業継続の設計です。
内閣府の事業継続ガイドラインでは、本社が使えなくなる事態を想定し、代替拠点の確保、重要情報のバックアップ、電源確保、回線の二重化が重要だと示しています。
その意味では、BCPを重視する企業ほど、場所を借りるだけでなく、平時から使い慣れた拠点を持つほうが合理的です。
一方で、利用の成熟度にはまだ差があります。J-Net21の調査では、コワーキングスペース・レンタルオフィスの利用経験について、未利用者は92.9%、現在のユーザーは3.0%でした。
つまり、シェア型拠点は柔軟である一方、全社員が当然に使いこなせる前提ではありません。
社内ルールが曖昧なまま導入すると、使う人だけが使い、組織運用に結びつかない可能性があります。
表2:自社に向く「第2の拠点」の選び方

判断軸 確認すべき数値 サテライトオフィスが向くケース シェアオフィスが向くケース
>テレワーク前提の組織運営 雇用型テレワーカー25.2%、実施率16.8% すでに制度運用しており、部門拠点を持ちたい まず一部社員から柔軟利用を始めたい
都内企業の導入状況 テレワーク導入率65.7% 継続運用前提で、社内制度と連動させたい 出社・在宅の間を埋める中間拠点にしたい
拠点の運営方法 常駐型65%、循環型33% 常設メンバーを置く、来客・面談を行う 日替わり・短時間・少人数で使う
拠点の形態 独自事務所64%、シェアオフィス34% 自社色を出したい、機密性を重視したい 初期固定化を避けたい
総務省調査の利用形態 常駐型65%、循環型33% 循環利用と相性がよい
利用成熟度 未利用92.9%、現在利用3.0% 社内教育を含めて運用を作りこめる 一部利用者から試しやすい
BCP対応 代替拠点、電源確保、回線二重化が重要 平時から使う代替拠点を整えたい 一時避難・分散勤務の補助線として使いたい

5. まとめ

自社に最適な第2の拠点を選ぶ結論は明快です。
部門常設、地域採用、BCP、機密性を重視するならサテライトオフィス、初期固定化を避けつつ、短時間・少人数・流動的に使いたいならシェアオフィスが向きます。
総務省調査でも、サテライトオフィスは独自事務所64%、常駐型65%が中心で、より「運営する拠点」に近い形です。逆にシェアオフィスは、共有利用とフリーアドレスの特性を活かし、変動の大きい働き方に向いています。
経営者・総務担当者が見るべきなのは、流行の名称ではなく、「誰がどの頻度で使い、非常時にも機能するか」です。

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【執筆者プロフィール】
株式会社TFC オフィス営業担当
宅地建物取引士  下田
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