新宿街角コラム

「巣ごもり需要」が後押し…加熱する都心部のタワーマンション売買事情

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴い、国内外での人々の往来が減り、テレワーク・リモートワークの普及も相まって、外出する機会が大きく減少しました。これにより、観光業界や商業施設、オフィスビルなどは打撃を受け、苦戦を強いられています。(副都心エリアのオフィスビルの最新の空室率はこちら→新宿と渋谷で見られた違い…副都心エリアのビル空室率の現状、副都心エリアオフィスビルのファンド化についてはこちら→コロナ禍でブーム?副都心の高層ビルで相次ぐファンド会社へ売却の背景、苦戦が続くホテル業界についてはこちら→長引くコロナ禍、消滅したインバウンド需要…苦戦を強いられている副都心のホテル業界

そんな中、人々が外出する機会が減ったことによる「巣ごもり需要」から、都心ではマンション業界が活況を呈しています。今回は、「巣ごもり需要」で加熱する都心のタワーマンション・高級マンション事情を解説します。

コロナ禍の巣ごもり需要を反映した高田馬場での一幕

シチズンプラザ

※Google Mapより引用

高田馬場にあった複合スポーツ施設「シチズンプラザ」。時計メーカー「シチズン時計」の100%子会社として1971年に設立され、ボウリング場やテニススクールを併設。中には都内でも数少ない常設のスケートリンクもあり、北京オリンピックにも出場した羽生結弦選手といった有名選手も多く利用したスケーターの聖地とも呼ばれ、地域の人々から長年親しまれてきました。しかし、開業から50年が経ち、建物の老朽化などから2021年1月に閉館、同年3月からは解体工事が行われています。

土地は既に三井不動産へ売却されており、跡地がどのようになるのか注目が集まっていましたが、三井不動産レジデンシャルはこのほど、この跡地に高級マンションを建設する計画を発表しました。それによると、今年5月までにシチズンプラザの解体工事を終了、9月に着工し、地上12階地下2階(一部地上6階)、延べ床面積は約2.86万㎡、326戸の分譲マンションが2025年1月頃の完成を目指して建設される見込みです。

スケート愛好家にも親しまれたシチズンプラザのスケートリンクは、「存続を願う会」が設立され署名活動が行われたほどでしたが、採算面からスケートリンクの設置は見送られ、学生の街である高田馬場を賑わせる商業施設への再編も行われないことになりました。住民からの陳情が新宿区側にも寄せられていたといいますが、コロナ禍で採算性が見通せなくなった商業施設や娯楽施設よりも、巣ごもり需要で加熱するマンション建設を優先する形となりました。

再開発計画にも盛り込まれ、新宿で相次いで建てられる高層マンション

高層マンション

※第69回新宿区景観まちづくり審議会 報告2資料 (仮称)新宿区四谷4丁目計画より引用

同じ新宿区内では他にも、新宿通り沿いの四谷4丁目、区立四谷図書館の向かいにあった、旧:新宿ソリューションセンタービルを取り壊し、跡地には高さ132m、35階建ての超高層マンションを2025年2月頃の完成を目指し、今年4月に着工します。計画の建築主は住友商事と三菱地所レジデンスで、東京都の総合設計制度を活用、認定保育園と公開空地の整備により容積率を増やしたことで、タワーマンションの建設が実現することになります。

一方、新宿通りを挟んですぐ南には新宿御苑があり、周辺ビル群は10階建て程度にとどまっていることから、審議会では「景観を損ねる」との厳しい意見も出ました。これを受け、当初36階建てを予定していたマンションは1階分減らし、上層部のデザインはボリュームを抑えたものに変更することで、都の建築確認申請が下りた形になります。それでも、元の計画と大きな変更点がないことから、「大幅な容積率の緩和によって、新宿御苑周辺における安易な高層ビルの乱立・眺望破壊に繋がる先例になりかねない」との懸念の声も上がっています。

さらに、これまで閑静な住宅街が広がっていた西新宿5丁目でも、防災強化や居住環境改善を念頭に区画整理を行い、高層マンションを建設する再開発計画が進行中で、2017年に60階建ての超高層マンションが竣工したのに続き、2023年3月には高層マンションと高層ビルのツインタワーが、2024年度には40階建ての高層マンションと保育園などが入る施設棟が完成する予定です。(西新宿5丁目での再開発計画についてはこちら→閑静な住宅街に高層ビルが出現?西新宿五丁目で行われる再開発事業とは

※完成予想イメージ、野村不動産 報道発表資料より引用

2019年3月には、京王新線初台駅の近く、甲州街道沿いのNTT東日本本社ビルと新宿パークタワーの間に挟まれたエリアの再開発計画「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」が都市計画決定。西新宿5丁目の再開発計画同様、防災性の向上と交通の利便性向上のため、区画整理を行った上で、高さ約235mの高層マンションのツインタワーが建設されることになっています。事業推進協力企業は野村不動産や住友商事、東京建物などで、都との協議が順調に進めば、2022年度上期にも組合を設立、2024年度には周辺建物の解体工事に着手し、2034年度に完成する予定で、完成すれば60階建て以上の超高層マンションのツインタワーとなり、住居の予定戸数も約3,200戸という日本国内の分譲マンション史上最大規模となる見込みです。

このように、建物の老朽化や動線・自然環境の改善が急がれる新宿では、区画整理とともに高層マンションを建設する再開発計画が相次いで発表されています。

コロナ禍に再開発…東京のマンション販売を後押しする要因

新宿以外でも、マンション販売が加熱しています。

2021年の1年間における首都圏の分譲マンション販売は、前年比23.5%増加の33,636戸。2020年に一時的に落ち込んだマンション供給の反動を受ける形となり、新宿・渋谷・豊島の副都心3区はいずれも前年より多くのマンションが販売された他、契約率も8割から9割と高いのが目立ちます。

東京オリンピック大会では選手村があった場所で建設中のマンション「晴海フラッグ」は、供給分637戸に対し申し込みが殺到、平均倍率は8.7倍という驚くべき数値になりました。また、代々木の北参道駅前で建設中の27階建ての富裕層向け高層マンション「パークコート神宮北参道ザ・タワー」では、上層部の最高額が13.7億円にも及ぶ高級マンションながら、昨年4月から販売を開始以降、1期分254戸全てが成約済みに。

なぜ、これほどまでマンション販売が加熱しているのでしょうか?背景にあるのはやはり、「コロナ禍における巣ごもり需要」です。

在宅勤務が定着したことで、オフィスまで出向く必要性が低下しました。そして、在宅勤務やテレワークを行うことに伴い、電波環境などの設備面や、同居する家族との兼ね合いといった心理的側面などから、現在の居住環境に不満を持つ、あるいは改善したいと思っている層が一定数いて、買い替え・住み替えを行う人が増えてきているというデータもあります。

コロナ禍収束の見通しが立たなくなったことも、これらの需要を後押ししている要因ではないかと考えられています。一方で、その収束見通しの不透明性から、企業が収束後の勤務形態をどうするかは未定となっていることが多く、郊外への大胆な転居よりも、コロナ禍収束後に出社することを考慮し、テレワークにも出社にも対応できるような都心エリアで転居する人が多くなっているようで、今後も引き続き高い競争率を保つものとみられます。

老朽化した建物も多い新宿などの副都心エリアでは、再開発計画にも高層マンション建設が盛り込まれており、高まるマンション需要と相まって、今後もマンション市場は活発になっていくものとみられます。

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