新宿街角コラム
都内オフィスビル、コロナ禍で空室率上昇
はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワーク・テレワークが普及し、オフィスワークの在り方に大きな変化が生じています。
リモートワークの普及によるオフィスの縮小や移転の動きが東京都心を中心に見られ、企業がオフィスを解約するケースが後を経ちません。
今回はそんな東京都内のオフィス需要の変化について見ていきます。
東京都心の動き
東京ビジネス地区5区(都心5区・千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビル空室率・賃料のデータをまとめるオフィス仲介大手「三鬼商事」によると、東京都心の2021年9月のオフィスの空室率は6.43パーセントで、前月から0.12ポイント、19か月連続で上昇しています。空室率は5パーセントを超えると供給過剰になり、借り手市場になるといわれているため、都心の空室率の膨張が深刻であることがわかります。
地区別では、
丸の内地区など安定した需要が見られる千代田区は4.61%と比較的低め、
中央区は5.60%、
新宿区と渋谷区はそれぞれ6.13%と6.75%と6%を上回りました。
港区は8.68パーセントと高水準。これは、港区に集積する業種がITや情報通信関連が多いため、テレワークとの相性が良く、アフターコロナを見据えた働き方改革を行いやすかった点が理由として挙げられます。
空室率の上昇に伴い平均賃料も低下を続け、市況悪化の出口は未だ見えない状況です。
また、業種の違いにより、オフィス縮小や移転の過程はさまざまで、各ビルオーナーにはテナント企業の出社率やオフィスに来る目的、企業のスタンスを把握し、適切なオフィスの提案を行なうなど、ウィズコロナにおける柔軟な対応が求められます。
新宿の誘致合戦
超高層ビルの空室が目立つ新宿では、各ビルが賃料を下げて誘致合戦を繰り広げています。
新宿駅周辺の超高層ビルは、IT企業を中心に減床・移転の動きが見られ、空室率は上昇しました。空室を埋めるため、各ビルオーナーは募集賃料の引き下げを行い、テナント獲得競争に挑んでいます。
新宿NSビルは3万円台半ばから2.8万円前後に、
新宿アイランドタワーは3.2万円前後から2.5万円前後に値下げしました。
このような各ビルの値下げ競争の結果、国際航業が新宿フロントタワーに本社と丸の内オフィスを統合移転、ジャパンビバレッジが住友不動産新宿グランドタワーへ入居するなど、実際に新宿地区の空室の増加も鈍化しはじめています。
一方で新宿など都心の再開発による新築の大型オフィスビルの供給は、2023~2024年にピークを迎えるとされています。オフィスの大量供給により、既存ビルの空室率がさらに上昇する可能性があるのでは、と危惧されています。
アフターコロナのオフィス市況は?
アフターコロナの景気回復後、オフィス需要はV字回復するとの見方もありますが、ニューノーマル(新常態)という大きな社会変化の中、オフィス市況の先行きはいまだ不透明です。
LINEは今年4月、本社を新宿(JR新宿ミライナタワー)から四谷(四谷タワー)に移転しましたが、これはニューノーマルの中でのオフィスや働き方の再検討の結果であり、このような企業のオフィス改革は多方面でさらに進んでいくでしょう。
これまで優先度の高かった「駅近好立地」なビルや、「広い会議スペース」を持つビルなどは、会議のテレワーク化やそれによる出社率の低下により、需要が低下する可能性もあります。当たり前が高スピードで変化していくこの時代において、どの企業も迅速な対応が求められています。
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