新宿街角コラム
苦境続く飲食業界、繁華街での異変
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行に伴い、時短営業などが要請されている飲食業界では苦境が続いています。1年以上に渡るコロナ禍の中、感染拡大の温床になっているとして集中的な対策の対象となっていた影響もあり、都心有数の繁華街でも飲食店の休業や廃業・閉店が相次いでいます。今回は都内の商業地で起こっている異変について解説します。
ビルが丸ごと空室に?飲食店の休廃業相次ぐ繁華街
※Google Mapより引用、画像内の牛丼チェーンと風俗店は閉店済み
都内有数の繁華街として名高い、新宿歌舞伎町。一時は「夜の街」と言われ、感染拡大の温床になっているとして、マイナスイメージを持たれてしまったエリアでもあります。その結果、客足が遠のいてしまった飲食店や宿泊施設を中心に閉店が相次いでいます。
歌舞伎町一番街では牛丼チェーンの他、焼肉店やラーメン店が閉店。ビルを一棟借りしていた風俗店や個室ビデオ店も相次いで閉店した結果、1棟丸ごと空室になってしまったビルも4棟あります。靖国通り沿いでもハンバーガー店の他、すし店や蕎麦屋が閉店。訪日外国人向けに展開していたドラッグストアは、歌舞伎町一丁目にあった3店舗をすべて閉店しています。歌舞伎町のメインストリート・セントラルロードでも居酒屋やカフェなどが閉店しましたが、ビルの空室が目立つものの、こちらでは退去後に新しいテナントが入居することもあって、路面部(1階部分)の空室は少なくなっています。
同様の異変が起きている銀座や浅草との共通点
※東京都報道発表資料より引用
飲食店やブランド店の閉店が相次ぎ空室が増えている、歌舞伎町と同じような現象は、同じく都内有数の繁華街として知られる、銀座や浅草でも起きています。
元々都内でも指折りの観光地である賑わいを見せていた歌舞伎町や銀座、浅草では、他のエリアと比べて賃料が高かったこともあり、2021年3月に発表された公示地価の全国トップも、銀座4丁目の山野楽器本店前(5360万円/㎡)となっています。その結果、退去したテナントが再び埋まりにくくなっています。
コロナ禍により閉店が相次ぎ空室が増えた結果、各地域の地価は下落し、特に銀座の商業地は都内最大の12.8%の減少となりました。浅草は12%、新宿は10.3%の下落となり、コロナ禍前は多くの人で賑わっていた繁華街では軒並み地価が下落しています。
アフターコロナを見据えた動きも
新宿の高層ビル群でも空室が発生している昨今、高止まりしていた賃料を下げて空室率の改善につなげようとする動きが出ています。一方、歌舞伎町の商業ビルでは賃料に大きな変動は起こっていないそうです。その理由は一体何でしょうか?
先述した通り、歌舞伎町のメインストリートでは店舗の入れ替わりが多くなっており、退去した後も新しいテナントが入居するようになっているなど、歌舞伎町のブランド性や話題性、アクセス面などから、今でも人気のエリアであることに変わらないというのが理由の1つではないかと考えられています。
また、コロナ禍でも現存している、従業員数の少ない小規模飲食店では、時短営業や休業への協力金で何とか賄えている店舗が多数である一方、従業員数の多いチェーン店は賃料を下げても閉店していくケースが多いことも相まって、オーナー側が賃料を据え置いて様子見している動きがあるのではないかとも考えられています。
賃料を据え置くオーナー側の思惑としては、先述した都内最大の地価の下げ幅を記録した銀座や浅草ほどではないことや、アフターコロナの需要を見据えていること、新宿駅周辺の再開発などから、経済活動の再開に期待感を抱いているものが多いと思われます。
緊急事態宣言の発出など、長く暗いトンネルが続いている中でも、ビルオーナー側はこれ以上状況が悪化することはなく、経済活動再開後の需要を見込んでいるなど、前向きな動きが見られています。高齢者向けのワクチン接種も始まったことから、今後コロナ禍が収束した後の動向に注目してまいります。
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