新宿街角コラム
郊外の長閑な町工場「下落合」の賃貸オフィス事情
新宿区の北端に位置し、豊島区に接する下落合。2つの川が流れ低地になっている南部には水にちなんだ産業施設や公園が並び、急峻な台地になっている北部には閑静な住宅街が広がる、二面性を持ったエリアです。
今回は下落合駅周辺のオフィス事情と周辺環境をご紹介します。
アクセス
下落合駅は西武新宿線の駅です。新宿からは最短5分のところにあります。
隣駅である高田馬場へは電車2分または徒歩13分、中井へは電車1分または徒歩10分で向かう事が可能です。
町域としての下落合では、南西部は西武新宿線の下落合駅が便利ですが、北東部はJR山手線の目白駅が、南東部はJR山手線・西武新宿線の高田馬場駅が、北西部は西武池袋線の椎名町駅が、それぞれ最寄り駅となります。
下落合の周辺環境
下落合は、神田川と妙正寺川、2つの川が「落ち合う」ことからその名がついたとされています。町域の南側はその2つの川が流れる低地となり、水利を活かした染物やクリーニング関連の企業・工場が立ち並ぶ町工場の様相を呈している他、西武新宿線や新目白通りが東西に貫く、交通の要衝となっています。
一方、新目白通りから北側は急峻な斜面からなる台地になっており、閑静な住宅街が広がる中に、江戸時代からの自然が残る公園が点在しています。
町全体として、「水」とは切っても切れない関係にあります。
水の恵みに支えられる街、下落合の見どころをご紹介しましょう。
数少ない都内の自然と触れ合う おとめ山公園
下落合駅から新目白通りを東へ進み、下落合二丁目で斜面を上ると、緑に囲まれた公園があります。面積約27,500㎢、新宿区内では新宿中央公園に次ぐ規模の「おとめ山公園」です。
漢字で書くと「御留山」となるこの地は、かつて徳川将軍家が所有していた敷地に当たり、一般庶民は立ち入り禁止(お止め)となっていました。地元の人たちが「秘境」と呼ぶこの地を保存しようとする活動も起こり、1969年に東京都が公園として整備し開園、新宿区に移管されたのち、2014年には隣接地も取得したことから全面開園しました。
傾斜地にあるこの公園内には、かつての武蔵野の景観を彷彿とさせるような雑木林が生い茂り、都内で森林浴を楽しめる数少ない場所になっています。また、園内には水路が張り巡らされ、大きな池も点在しています。水路や池の水の源流は、公園内の斜面から出る湧き水です。
実は、おとめ山公園は「東京の名湧水57選」にも選ばれる、23区内でも数少ない湧き水が出る場所になっています。撮影した日以前は雨がほとんど降らなかったことから、湧き水はごく微量でしたが、季節によってはまとまった湧き水の流れを見る事が出来ます。この水を利用して、カルガモや亀、ホタルなどの繁殖が行われ、特にホタルは、かつてホタルの名所だったことから、専用の飼育施設があり、夏になると地元住民によるイベントも行われます。
東京23区内にいながら、森林浴・湧き水・ホタル観賞など、自然と触れ合い楽しむ事が出来る場所となっています。
この地で生まれた化学工業会社 エステ―
下落合駅から、新目白通りを東へ10分ほど歩くと、CMでよく見るヒヨコのロゴで有名な、エステ―のR&Dセンターがあります。そこからさらに、西武新宿線の踏切を渡り、神田川沿いの道に出ると、消臭剤や防虫剤の大手企業「エステー」の本社ビル(写真)があります。
戦後まもない1946年、防虫剤の開発・製造のために、この地にエステー化学工業所が設立。その後、製造拠点は埼玉や福島に移り、本社機能と研究拠点がここ下落合に残っています。2007年には社名を「エステ―株式会社」に変更、この本社ビルは2013年に竣工しました。
消臭力やムシューダ、脱臭炭などのヒット商品は、ここ下落合から全国に広がって行ったのです。
テレビ番組との意外なつながり 東京富士大学
エステ―本社の直ぐ近く、空中に浮かぶ連絡橋が特徴の、東京富士大学があり、神田川にまたがるようにキャンパスが広がっています。
前身となる東亜学院が1943年に創立。「名山と呼ばれる富士山のように、不二の学園となる将来への期待」から、名称を変更し、1951年に富士短期大学を設置します。以来経営学を中心に指導を行っており、2002年には東京富士大学を設置、多くの税理士を輩出してきた他、高い就職率を誇る大学となっています。
実は、東京富士大学の本館の屋上は、日本テレビ系列で放送中のバラエティ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」内の企画「新宿DASH」のベース基地として提供されています。大都会と化した新宿・下落合で、多くの野鳥や昆虫が見られ、野菜などの様々な作物が栽培できることを、この番組を通して発見できた方も多いのではないでしょうか。
受け継がれるギャグマンガの世界 フジオ・プロ
下落合駅から、妙正寺川を渡って西へ5分ほど歩いた、中落合の住宅街の一角、入り口の上にバカボンパパの像が目立つビルがあります。フジオ・プロダクションの本社ビルです。
「天才バカボン」「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」といった有名漫画を数々世に送り出してきた赤塚不二夫氏が、当時アシスタントだった他の漫画家たちと共に、1965年に新宿で設立した漫画製作プロダクションで、現在地には1978年に移転しています。
2006年に赤塚不二夫氏が亡くなって以来、フジオ・プロダクションでは、氏が手がけた作品の著作権・版権の管理を主に行っており、広告掲載や新規の単行本、その他出版物や企画、展覧会等での著作権使用業務、商品化やインターネット向けライセンス事業を手がけています。
オフィス選びはご相談ください
2つの川が織りなす低地、特に神田川沿いや妙正寺川沿いの水利を活かした土地に、企業のオフィスや小規模の工場(印刷会社、金属加工など)が集まっています。業種としては、卸売業や梱包、建築材料やインテリア用品の業者も見られました。税理士事務所が多いのも特徴として挙げられます。
新目白通り沿いはマンションが立ち並ぶ一方、新目白通りから北側は傾斜地になっており、住宅街が形成されていて、老人ホームや介護業者が見られました。幼稚園や保育園、小中学校の他、専門学校や語学学校、学習塾なども点在しており、教育施設が多い印象でした。また、昔からの自然を残した公園も多く存在し、住民の憩いの場となっています。都会の喧騒から離れ、自然に癒されながら仕事をしたい方にお勧めです。
一方、新目白通りから北の住宅街への坂道は比較的急峻で、おとめ山公園の中央を南北に貫く坂道は、自然をそのまま残した関係上、かなり急坂になっている印象でした。最近になって歩道が整備された中落合の聖母坂通りは、他に比べて傾斜は緩やかですが、坂を上り切った先にある聖母病院まで5分ほど歩くので、聖母病院へ行く際は、反対側の目白通りから坂を下る方向に進むこともできます。
下落合は、高田馬場や目白よりも山手線の外側になり、閑静な住宅街と自然に囲まれた地域です。下落合駅は各駅停車しか止まりませんが、下落合の町域内でも場所によっては目白や高田馬場が最寄り駅になる場所もあり、町域内はバスも走っていることから、交通の便はそれほど悪くないエリアです。駅前にはスーパーマーケットとドラッグストアがあり、他にもコンビニエンスストアや個人経営の飲食店が点在していました。生活用品店や食料品店は、北の目白通りの方が多い印象です。下落合駅前と目白駅付近、椎名町駅前に交番があります。賃料は平均して坪11,000~17,000円前後になり、安い所では坪10,000未満のものも見られました。
オフィス選びはご相談ください
下落合周辺の賃貸オフィス事情について、周辺環境を交えながらご紹介しました。2つの川がもたらす独特の地形と水利を活かした、閑静な町工場が広がる地域であることがお分かりいただけたと思います。
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