新宿街角コラム
「歴史が息づく 牛込神楽坂駅」
牛込神楽坂駅は、新宿区箪笥町にある東京メトロ大江戸線の駅です。2000 年 12 月に開業した比較的新しい駅で、側壁に濃い灰色のタイル、ホームの床と階段外壁の下にオレンジ色のタイルを施すなど、神楽坂の景観にちなんだようなモダンな仕上がりとなっています。
隣駅は牛込柳町駅、飯田橋駅で、新宿西口駅までは 4 駅です。神楽坂駅からは徒歩 10 分程度の距離です。山手線の内の内という好立地で、乗り換えなしで新宿や六本木といった都内主要エリアへ出ることができます。
特に、JR・東京メトロ・都営地下鉄という 3 社が乗り入れている飯田橋駅が隣駅なので交通の便に困ることはなさそうです。
エリア優位性
駅自体が大久保通り沿いに面しており、日中は交通量、人通り共に多く賑やかな印象です。オフィスビルが多く、出版・製本・印刷関係の会社が多数点在しますが、少し脇へ入れば閑静な住宅街が続きます。
駅の A3 出口から歩いて 1・2 分のところには神楽坂通り商店街があります。神楽坂坂下から大久保通りとの神楽坂上交差点までの通称早稲田通りに面する商店街で、表通りにはおしゃれな店舗やレストラン、カフェなどが多く建ち並び、休日のショッピングや散歩を楽しむことができます。
早稲田通り沿いには、4 コマ漫画「コボちゃん」のブロンズ像があります。作者の植田まさしさんは、神楽坂地域に35年以上居住しており、コボちゃんの連載初回の原稿も神楽坂で書き上げられました。これらの縁から、商店街の案内板にコボちゃん一家が登場するなど、商店街のシンボルとして愛されています。
歴史
高級住宅街の中に泉鏡花旧居跡があります。泉鏡花は、明治から昭和にかけて日本文学におおきな業績を残した小説家です。31 歳のころ神楽坂の芸妓桃太郎(本名伊藤すず)とここの借家に同棲するようになりました。しかし、鏡花の師であり「金色夜叉」で有名な尾崎紅葉から厳しく叱責を受け、一時桃太郎は鏡花のもとを去ります。
紅葉が没すると、すずを正式に妻として迎え 1910 年から 1939 年の間この地に住んだそうです。泉鏡花の旧居地であるこの場所は、北原白秋の旧居地でもあります。(北原白秋旧居跡)
白秋は約一年間をここで過ごしましたがその間の活動も素晴らしく、短歌「もののあはれ」63 首を発表しており、このころから歌作にも力をそそぐようになりました。なおこの辺りは物理学校(現東京理科大学)の裏手にあたることから、「物理学校裏」という詩も残しています。
駅からほど近い光照寺の付近は、牛込城の城跡であったとされています。このお城は戦国時代の武将であった牛込勝行が築城したとされており、神楽坂を上から見下ろせる位置にあります。近くを訪れた際、お城に立ち寄り神楽坂を一望してみるのもいいかもしれません。
周辺施設
A2 出口より徒歩 3 分の位置に、宮城道雄記念館という日本で最初の音楽家の記念館があります。「春の海」などの作曲で知られる音楽家・宮城道雄の偉業を記念して 1978 年に設立されたもので、音楽関係の資料や故人の遺品、随筆や楽器の展示などがあります。
また、CD や DVD で彼の偉業を鑑賞することができます。国登録有形文化財指定の書斎「検校の間」は生前のまま保存されており、見学が可能です。
イベント
牛込神楽坂駅から徒歩 1 分のエリアでは例年「神楽坂まつり」が開催されています。
昔懐かしい情緒を味わえるこちらのお祭りでは、ほおずき市と阿波おどりが開催されています。来場者は 5~6
万人にものぼり、イベントは 4 日間にわたり続けられます。
都内でも有数の賑わいをみせ、多くの方が浴衣で足を運び、日本の夏の風物詩を楽しんでいます。ほおずき市で購入できるほおずきは、お盆でご先祖様の行く先を照らすといわれ、夏らしい赤色を楽しめるのが魅力です。50 店もの出店が所狭しと並び、牛込神楽坂の街がもっとも盛り上がりを見せます。
2018年10月1日現在