新宿街角コラム
新宿駅西口にある不思議な筒
1.はじめに
現在再開発が行われている新宿駅西口付近。2022年の10月には長年都民に愛されてきた小田急百貨店新宿本館が閉館し、55年の歴史に幕を降ろしました。
その跡地には48階建ての施設が建設される予定で、商業、ビジネス、オフィスなど様々な用途で使用されることが検討されており、2029年の竣工を目指しています。
今まさに歴史が変わりつつある新宿西口に、まるでファンタジーの世界から飛び出したような草に覆われている建造物があります。
今回の街角コラムではその不思議な建造物の正体はなにか、また何のために作られたのかについて調査していきます。
2.筒の正体
この筒の正体はズバリ換気塔。高度経済成長期真っ只中である1966年の11月に完成したものです。
緑に覆われているので、一見お役御免となったトマソンのように見えますが地下駐車場等の給排気として現在も運用されており、今も新宿西口を支えています。
また換気塔は緑に覆われている塔を含めて4つ存在しており、これらもまた新宿西口の地下を支えています。
この換気塔の歴史を語るには明治時代まで遡ります。
かつての新宿西口には淀橋浄水場があり、都民の水瓶として東京の発展に大貢献しましたが、東京オリンピックの翌年である1965年に東村山浄水場へとその役割をバトンタッチしました。
この広大な浄水場跡地の開発は翌年の1966年から始まります。その設計は当時日本建設協会の会長だった坂倉準三が選ばれました。
坂倉は地下の改札口を出て、そのまま歩いたのにいつの間にか出ていたという浄水場跡地の地形を活用して立体的な構造にしていくと同時に、地下空間を最大限に活かすために換気に対して細心の注意を払い、ロータリーの中心部に換気塔が配置されることになりました。
当初この構造は車の流れを阻害するという反対意見があったものの、坂倉は地下通路や地下街を活かすためにはこれが最善策と反対意見を撥ね退け、現在の形に至っています。
この印象的な佇まいをしている換気塔は古くから様々な映像作品にも登場しています。次の章ではその中でも代表的な作品を紹介していきます。
3.換気塔が出てくるドラマ
高度経済成長期真っ只中の1966年に完成してから、60年近く新宿西口を支え続けている換気塔。長い歴史のある換気塔は様々な映画やドラマにも登場します。
その中でも最も有名なのは1975年から77年にかけてNET(現テレビ朝日系列)で放送されたスーパー戦隊シリーズの第一作「秘密戦隊ゴレンジャー」でしょう。
世界征服を企む黒十字軍に立ち向かうため、国際秘密防衛機構イーグル日本支部の5人の精鋭部隊「ゴレンジャー」たちが戦う物語である本作は、当時の子供たちの間で爆発的な人気を博し、放送終了から50年近く経った現在でもその後継となる作品が毎年放送されています。(現在は爆上戦隊ブンブンジャーが日曜朝9時30分から放送中)
そのゴレンジャーの秘密基地は実は新宿西口地下にある設定で、ゴレンジャーの主力戦力の一つであるバリブルーン及び、その後継機のバリドリ―ンの発進口のロケ地にはこの換気塔が使用されているのです。
この発進シーンは本編だけでなく、オープニングでも使用されているので特撮ファンにとってとても馴染み深いものであり、レンタルビデオで「秘密戦隊ゴレンジャー」を見て育った筆者は上京してすぐの頃この換気塔をみて、「バリブルーンの発進基地だ!!」と感動を覚えました。
バリブルーンの発進基地のロケ地として使用された換気塔。「バリブルーン発進、ゴー!」という新命明/アオレンジャーのセリフが聞こえてきそうです。
4.おわりに
今回の街角コラムでは新宿西口の換気塔について紹介しました。
1966年に完成し、新宿西口の地下に貢献し、フィクションの世界でも活躍した換気塔。これからも新宿西口の顔として親しまれるでしょう。
その他オフィス選びの際の注意すべき点については、賃貸オフィスコラムにて掲載しておりますので、下記のリンクから是非ご覧ください。
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