新宿街角コラム
歴史深い面影を残す、人と文化の交流の街「半蔵門」の賃貸オフィス事情
千代田区西部に位置する半蔵門。甲州街道(新宿通り)と内堀通りがT字に交わる交通の要衝で、永田町にもほど近く、皇居と赤坂御所の間に位置する半蔵門は、麹町と並んで政治・外交を支えるオフィスビル街となっている一方、皇居を囲う内堀沿いには桜の名所も存在するなど緑豊かな風景が広がる地域となっています。
今回は、半蔵門駅周辺のオフィス事情と周辺環境をご紹介します。
アクセス
半蔵門駅は東京メトロ半蔵門線の駅です。実は半蔵門線で唯一、他路線との接続がない駅となっています。
大手町からは7分(東京からは丸ノ内線を利用し大手町乗り換えで15分程度)、渋谷からは9分のところにあります。
隣駅である永田町駅へは電車2分または徒歩9分で、九段下駅へは電車3分または徒歩18分で向かうことができます。
半蔵門の周辺環境
半蔵門駅は、国会議事堂〜靖国神社に伸びる通り(半蔵門駅前通り)に沿って、一番町と麹町にまたがる形で設置されており、甲州街道(新宿通り)にも出入口があります。
半蔵門駅周辺は交通の便の良さから、オフィスビルやビジネスホテルの他、マンションや学校があるだけでなく、各国の大使館やテレビ局のスタジオといった情報発信施設が存在する、多面性を持った街となっています。
駅名の由来は、駅の東にある皇居(かつての江戸城)への出入口の1つである「半蔵門」です。続いては、その「半蔵門」も含めた半蔵門駅周辺の見どころをご紹介します。
皇居 半蔵門
新宿通りを東へ進んだ突き当りに、重厚なバリケードに囲まれ警察車両が駐車している物々しい雰囲気の場所があります。ここが、皇居(かつての江戸城)の出入口「半蔵門」です。1620年に仙台藩(現在の宮城県)藩主である伊達政宗ら6人の東国大名によって築造されました。元々の門は太平洋戦争により焼失しており、現在の門は和田倉門(東京駅の西にある門)の高麗門を移築したものとなっています。
名前の由来については諸説ありますが、江戸時代にこの門の守衛だったのが徳川家康の家臣だった服部半蔵だったこと、将軍の警護を担当する服部半蔵とその部下らがこの門の外に屋敷を構えていたことが定説とされています。江戸城の内堀でも、この半蔵門に通じて掛けられた橋と北の代官町通りに掛かる橋との間の部分は「半蔵濠」と呼ばれています。
ちなみに、旗本のうち将軍の警護を担当する役職のことを「大番組」といいますが、半蔵門駅周辺に「一番町」「二番町」といった「〇番町」という地名が付いているのは、その「大番組」がこの地に住んでいた名残とされています。
江戸城の西端にあたる半蔵門からは、真っすぐ甲州街道(新宿通り)が伸びており、その先は新宿や高井戸、府中や八王子を経て、その名の通り「甲斐国」山梨県の甲府方面へ繋がっています。
この門は、江戸城の正門にあたる「大手門」(江戸城の東端、現在の東京メトロ大手町駅付近)とは真逆の位置にあり、裏門という意味の「搦手門(からめてもん)」に当たること、甲州街道が伸びる先の甲斐国が天領(江戸幕府の直轄領)であったことから、江戸城が攻め込まれるなどの有事の際に、避難経路となる甲州街道へ将軍を逃がすための非常口になっていたのではないかとも言われています。
かつては江戸城への出入りに用いられいた半蔵門。現在は皇居への出入りを行う皇族関係者のみが利用でき、一般人の通行はできません。また、内堀通りの歩道沿いにある麹町警察署の半蔵門警備派出所の前には警察官が常駐し、重厚なバリケードが置かれ警察車両も止まっていることから、門の近くまで立ち寄ることもできません。強固な警備が敷かれていますが、歩道上からでも門の存在ははっきりと確認できるので、離れた場所から写真撮影等はすることができます。その際には皇居ランナーにも気を付けましょう。
千代田区立 千鳥ヶ淵公園
半蔵門駅の東、内堀通りと半蔵濠の間に整備された公園が、千鳥ヶ淵公園です。「千鳥ヶ淵」の名前の由来は、冬に野鳥が多く集まることからという説や、かつてV字型の堀の形が千鳥に見えたという説などがあります。
余談ですが、名前の由来となっている「千鳥ヶ淵」は、正確には、江戸城の内堀のうち代官町通りと田安門に通じる橋の間の部分、北の丸公園の西側に面した部分を「千鳥ヶ淵」といい、戦没者墓苑のある方を指します。1900年に道路整備された代官町通りによって分断されるまでは、半蔵濠も千鳥ヶ淵と一体となっていました。
江戸城の東側は、日比谷まで伸びる東京湾の入り江に面した湿地帯が多かったことから、井戸水をくみ上げても塩分が多く飲み水には適していませんでした。そのため、江戸幕府を開くにあたり、高低差のある谷状になっているこの地を利用し、麹町から流れてきた局沢川という小川の水を、現在の乾門の北側辺りでダムのようにせき止め、飲料水の貯水池として整備したことに端を発します。千鳥ヶ淵は江戸時代よりも前に整備されたダム湖ということになります。
その後の江戸城の拡張に伴い、局沢川は半蔵門と田安門に通じる土橋でせき止められ、千鳥ヶ淵は江戸城のお濠の一部となります。この局沢川の正確な流路は分かっていませんが、その先は日比谷入江と呼ばれる東京湾の入り江に注いでいたとされていて、東側の人工的に整備された他の江戸城のお濠とは異なり、自然の形をそのまま利用した千鳥ヶ淵はその名残となっています。
現在では千鳥ヶ淵のお濠沿いには公園や緑道が整備され、内堀通り沿いも含めてソメイヨシノや枝垂桜などの桜並木が植えられていることから、春先には桜の名所として多くの花見客で賑わいます。筆者が訪れた4月初旬、内堀通り沿いの桜はほとんど散ってしまっていましたが、千鳥ヶ淵のお濠沿いにはまだ綺麗な桃色の花をたくさん咲かせている木もありました。
実は、千鳥ヶ淵と桜の歴史は意外と浅く、当初は飲料水用のため池として整備されただけのため、江戸時代桜の木は植えられておらず、この地に桜が植樹されたのは明治時代のことになります。
千鳥ヶ淵公園の内堀通りを挟んで反対側には、駐日英国大使館があります。千鳥ヶ淵公園に桜の木が植えられるようになったのは、明治14年(1881年)、元々は日本に憧れる通訳として来日した外交官アーネスト・サトウ氏が駐日英国大使館の前に桜を植樹したことに端を発します。その後は国が主体となって公園や並木道を整備しましたが、関東大震災や東京大空襲によって大部分が焼失、現存する桜の木で最古のものは1930年ごろに植えられたソメイヨシノとされています。
ところで、千鳥ヶ淵では手漕ぎ・足漕ぎボートが貸し出されており、有料で誰でも利用可能であることから、お濠の水面の上から桜並木を眺めることも可能です。このボート場が開業したのが戦後間もない1950年のことで、千鳥ヶ淵の周辺が殺風景だったことから、戦後復興の機運と相まって1955年ごろになって千鳥ヶ淵周辺に多くの桜の木が植えられたとされており、現存する桜の大半はこの時期に植樹されたものとなっています。
TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)
千鳥ヶ淵公園の内堀通りを挟んだ向かい側、半蔵門と駐日英国大使館の間に、TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)のビルがあります。東京都ではテレビ東京に次ぐ6番目の地上波民間放送テレビ局として1993年4月に設立、島しょ部の有人島を含む都内全域の他、東京スカイツリーから半径50キロ圏内の首都圏で放送されているローカル放送局です。
2003年の地上デジタル放送開始以降、リモコンキーIDは「9」とされ、実質他の在京キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)と肩を並べたことから、東京のローカル局として特化した経営方針に転換し、東京都の情報発信の強化といった地域密着型の番組構成とした他、「アニメといえばTOKYO MX」というイメージを持つ方も多いように、多数のアニメーションの放送を中心としています。このほかにも、他の在京キー局とは異なり、開業当初は特定の新聞社(日本テレビは読売新聞、テレビ朝日は朝日新聞、TBSは毎日新聞、テレビ東京は日本経済新聞)の影響を抑えたとされていましたが、現在では東京新聞を発行する中日新聞が株主に名を連ねており、CMを放送するなど影響が皆無というわけではないようです。ちなみにTOKYO MXの筆頭株主は「TOKYO FM」を放送するエフエム東京で、エフエム東京の関連会社ということになっています。
半蔵門の賃貸オフィス事情
皇居の出入口である半蔵門は、甲州街道(新宿通り)と内堀通りがT字に交わる交通の要衝で、永田町にもほど近く、大使館なども建ち並び、麹町と並んで政治・外交を支えるオフィスビル街となっています。一方、皇居を囲う内堀沿いには桜の名所も存在するなど緑豊かな風景が広がる地域となっており、麹町と比較すると喧噪さは抑えられた印象です。
半蔵門駅は、国会議事堂〜靖国神社に伸びる通り(半蔵門駅前通り)に沿って、一番町と麹町にまたがる形で設置されていますが、この半蔵門駅前通りは甲州街道(新宿通り)とは異なって細い道になっていることから、駅前はオフィスビルやビジネスホテル、駅前だけで3店舗も展開するファミリーマートを中心に多数のコンビニエンスストアがある一方、北側の市ヶ谷駅との間はマンションや公園、学校が多く見られる住宅街のような様相でした。
また、皇居や永田町にほど近いこのエリアには、先述したイギリスのみならず、アイルランドや南アフリカ、パラグアイ、ルクセンブルクやバチカン市国など、各国の大使館も集まっている他、TOKYO MXや日本テレビのスタジオといった情報発信施設、コミュニティセンターや図書館といった文化交流施設が存在する、多面性を持った街となっています。
市ヶ谷から三番町、一番町を経て半蔵門までの地域は台地のような地形になっており、急峻ではないものの坂道が多くなっています。また、そのほとんどが幅員が狭く一方通行になっている道路である他、周辺には小学校もある住宅街となっているので、車両で通行する際には注意が必要です。
半蔵門駅から新宿通りを東(半蔵門方向)へ向かうと麹町警察署があります。また、半蔵門の先は皇居となっており、内堀通り沿いにはイギリスなどの大使館が存在することから、警備体制が厳しく比較的治安がいいエリアとなっています。尚、大使館は番町の住宅街にも点在しているため、不用意に近づかないようにしましょう。
半蔵門駅の西には麴町駅、北には市ヶ谷駅や九段下駅があり、地下鉄のアクセスは良好です。甲州街道(新宿通り)沿いや、麹町駅から四番町と六番町の間を抜けて市ヶ谷駅まで通る善国寺坂(日本テレビ通り)沿いにはバス停もありますが、道路の狭さなども相まってか、番町の住宅街にはバス停がありません。その分タクシーは多く走っていた印象です。
甲州街道(新宿通り)沿いや内堀通り沿い、半蔵門駅前通りの南側などは高層ビルが建ち並び、人通りも交通量も多く賑わっていることから、営業拠点としてオフィスを開設するのにおすすめです。一方、半蔵門駅前通りの北側、番町の住宅街などは、大通りから伸びる道を入ったところにあるため、大通りほどの喧噪さはなく、静かな場所で個人事務所を開設するのにおすすめです。
賃料は平均して坪単価10,000〜20,000円程度で推移しており、築浅の物件や駅近の物件、レンタルオフィススペースなどは数万円台と比較的高めになっています。
オフィス選びはご相談ください
半蔵門周辺の賃貸オフィス事情について、周辺環境を交えながらご紹介しました。甲州街道(新宿通り)と内堀通りがT字に交わる交通の要衝で、その周辺には歴史深い光景の数々が見られます。大通り沿いには高層ビルが並び、人通りも交通量も多く賑わっている一方、台地になっている番町の住宅街や内堀の周辺は公園や緑道が整備され、閑静な住宅街に各国の大使館などが集まり、その多面性を見ることができます。
新宿賃貸事務所.comでは、半蔵門とその周辺(一番町、二番町、三番町、麹町など)の物件を含め、新宿周辺の賃貸オフィスを紹介しています。賃貸オフィス物件をお探しの際は、下のお問い合わせフォーム、もしくはお電話(0120-95-5129)よりお気軽にご相談ください。