新宿街角コラム
コロナ禍で再開発に影響は?新宿駅周辺の現状
新宿駅東西自由通路に、新宿住友ビルの三角広場…新宿区や東京都、JR東日本などによる新宿駅周辺の再開発事業が活況となっていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行と、それに伴う緊急事態宣言の発令によって、再開発事業にも大きな影響が出ています。
夜の歓楽街における集団感染(クラスター)の発生などで話題になることが多い新宿エリアにおける、新型コロナウイルス感染症流行の再開発事業への影響について解説します。
新宿 TOKYO MILANO 再開発計画 →工事一時中断
※新宿区報道公開資料より引用
シネコンの台頭や、建物の老朽化により、2014年をもって閉館した新宿ミラノ座の跡地を再開発し、映画館や劇場、ライブホールや屋外ステージなどのエンターテインメント施設を充実させ、店舗やホテルなどを併設した複合施設とする「新宿 TOKYO MILANO 再開発計画」は、西武新宿駅からも近く、空港連絡バスによるアクセスルートも確保した上で、周辺の高層ビルにも引けを取らない、歌舞伎町のシンボル的存在になるべく、2019年7月に着工し、2022年8月ごろの竣工を見込んでいました。
ところが、新型コロナウイルス感染症の流行と、それによる緊急事態宣言の発令により、事業主である東急グループの東急建設と、新型コロナウイルス感染者が発生した清水建設が、4月中旬から1か月程度、工事を中断。
さらに、ビル建設に先行して行われていた周辺道路の整備工事も同じく中断。これには西武新宿駅前通りの再整備と、職安通りの平面交差化などが含まれていましたが、2020年東京オリンピック開催を見込んだ開通を目前にしての工事中断となり、完成は予定より2か月遅れの2020年9月ごろに遅れる見込みです。
新宿住友ビル三角広場 →やや遅れ開業
※住友不動産公式ホームページより引用
都庁に近く、老朽化した新宿住友ビルのリニューアルに伴い、北側に存在した公開空地をイベントスペースとして再整備する大規模リニューアル工事が行われ、2020年6月1日の開業を見込んでいました。(新宿住友ビル三角広場に関する記事はこちら)
しかし新型コロナウイルスの影響で、実際6月1日にオープンしたのは、工事に伴い長期間通行止めとなっていた正面入り口や地下通路との接続部と一部の店舗、新宿住友ホールのみで、その後6月15日より地下部分の店舗を順次開業、三角広場を含めた新宿住友ビルの大規模リニューアル工事が竣工したのは6月30日のことで、三角広場は予定より1か月遅れの7月1日に開業しました。
イベントスペースとして再整備された三角広場では、当初予定していたアトリウムでのイベントなどは控えるとしながらも、今後は東京都の方針や社会情勢などを踏まえて適宜判断していくとしています。
新宿駅東西自由通路 →ほぼ予定通りに開通予定
※JR東日本プレスリリースより引用
東西間移動の動線改良や、改札内通路の拡幅のため、東西自由通路を設置する駅改良工事が2012年に着工、東京オリンピックが開催される予定とされていた2020年8月までの完成を見込んでいました。(新宿駅東西自由通路に関する記事はこちら)
この新宿駅改良工事と、先の新宿住友ビル大規模リニューアル工事の主導となっているのが大成建設ですが、先述した東急建設や清水建設などとは異なり、休憩時間の分散などで「3密」を避けるといった工夫をすることで、ゴールデンウィーク以外は工事を中断させることなく継続。東京オリンピック開催が1年延期になっても工期に変更はなく、6月初旬にはJR東日本から「7月19日の併用開始予定」との公式発表もされました。
建設各社の対応
新型コロナウイルスなどの感染症に感染してしまう場所は、多くの作業員が集まる建設現場も例外ではありません。
作業員が新型コロナウイルスに感染した、清水建設や鹿島建設、大林組は、対象地域や発注者との協議などをもとに、4月中旬から1か月ほど工事を中断した現場がありました。このうち、大林組は緊急事態宣言の解除延期に伴い工事の中断期間を延長しましたが、清水建設と鹿島建設は、下請けへの影響を考慮し5月上旬~中旬から順次工事を再開しています。
他にも、先述した東急建設の他、大和ハウス工業や西松建設なども一時工事を中断していました。
一方、大成建設や竹中工務店など、安全性や発注者との協議を踏まえて、「3密」の回避や定期的な消毒を徹底することで、工事を中断することなく継続する企業もありました。
新宿駅周辺再開発事業の今後
現在でも東京都内で1日50人前後の新型コロナウイルス新規感染者が報告され、特に歌舞伎町など新宿エリアでの感染が話題になるなど、予断を許さない状況が続いています。
今後も建設作業員などに感染者が発生した場合には、工事の中断や工期の遅れが発生することが見込まれます。特に、再開発事業が各地で相次いでいる新宿エリアでは、その可能性は十分あると考えられる一方、感染対策を徹底したうえで経済活動が再開していることから、再開発の動向については今後も注視していく必要があるでしょう。
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